会議の選び方

今年度のAJMUNでは、5つの日本語会議(議論を日本語で行う会議)と3つの英語会議(議論を英語で行う会議)を用意しています。
会議選択に際しては、議題への興味・関心や会議コンセプトで会議を選んでいただくのが一番ですが、議題の難易度やサポートの手厚さなどが気になる方もいらっしゃるかと思います。このページでは「議題だけで会議を決められない!」「自分のレベルに合った会議を選びたい!」といった方に向けて、会議選択のヒントとなる特徴をご説明いたします。

 今大会では、“For the Better”というテーマのもと、
「会議を通じて議題と真剣に向き合い、社会・国際問題についての思考を深めること」
「会議を通じて自分と真剣に向き合い、自らが大会に参加した目的を果たすこと」
そして、これらを通じて、社会にとっての/個人としての“より良い”あり方を志向することを目標として掲げています。
 前者に関しては、議題への興味・関心で会議を選んでいただくのが一番ですが、「議題だけでは決められない!」という方に向けて、以下では、後者の「AJMUNに参加する際の目的意識」に加え、「求められる模擬国連の習熟度」を切り口として各会議の特徴をまとめました。

縦軸:「目標の明確さ」
 皆さんがAJMUNに参加する動機・理由は様々かと思われますし、大会参加に際しての目的・目標意識の強さも様々かと思います。「全国大会で活躍してアワードを受賞したい!」という明確な目標を持って参加する方もいれば、「とりあえず全日本大会に出てみたい」という理由で参加する方もいるでしょう。
 この軸では、そのような「参加に際しての目標・目的意識がどれくらい明確であることを想定しているか」を基準としています。具体的には、
・メンター制度等による目標設定・達成の補助の有無
・フロントからの積極的な働きかけの有無
などが基準の要素となっています。

横軸:「初級者向け~上級者向け」
 模擬国連会議に慣れているかどうかや、会議で求められる知識・議論力のレベルが自分に合っているかどうかは、会議の満足度に大きく影響します。
 こちらの軸では、そのような「模擬国連会議における習熟度がどれくらいであることを想定しているか」を基準としています。具体的には、
・議論に必要とされる知識の専門性、高度さの程度
・会議に求められる交渉力・議論力の程度
・フロントによる会議準備サポートの手厚さ
などが基準の要素となっています。

女性差別撤廃委員会

・女性差別撤廃条約の履行状況を精査することが議論の主な内容となるため、特に専門家委員で国際法の知識・理解力が求められます。他方で、交渉とは異なる作業も多いため、交渉や文言作成の技術はそれほど求められません。
・専門家委員は、自らが問題と思う論点を自由に議論することができるため、議題に関しての問題意識・目的意識が強くある場合におすすめです。
・提出物に対するフロントからのフィードバックは充実していますが、基本的には参加者皆さんの自発的な会議参加に委ねられるため、しっかりと自分の頭で考えてリサーチをする高いモチベーションが必要です。

COP15

・議題や論点そのものは理解しやすいトピックであり、知識量はそれほど問われません。一方で、合意を作るのが難しい内容であるため、交渉力や議論についていく力が必要になります。目安としては、研究会会議のプロシージャを理解し、活用できる水準が望ましいです。
・会議コンセプトを基に会議を作成しているため、自分の目的意識がコンセプトと一致する方、コンセプトの内容に興味がある方におすすめです。
・議題解説書・タスクなど基本的な内容は充実しています。一方、史実に基づいた会議を重視しているわけではないため、参加者各自で目標設定(国益の設定)や妥協点を判断する必要があり、自発的な思考と行動が求められます。メンター制度は必要に応じて実施するという形となります。

ECOFIN(EU経済・財政相理事会)

・EUの主権統合や財政政策、通貨同盟のシステムを巡って議論が展開されるため、欧州統合の歩みや経済学の理解など、ある程度高度な知識と堅実なリサーチが求められます。
・広範な知識と複雑な思考が求められるため、この会議を通じてワンランク上の知識・スキルを身に着けたい!という方におすすめです。ペアデリ制のため、上級者とペアを組んでの参加が可能です。
・上記のように会議でやりたいことが明確にある方はもちろん、模擬国連でやりたいことを見失ってしまっている方に向けられた会議でもあります。模擬国連を惰性で続けてしまっている上級者の方で、最後に自分の培ってきたものを発揮したい人、ペアデリ制を利用して自分の得たものを後輩に受け継ぎたい人などにおすすめです。

PKO特別委員会

・専門性の高いものから低いものまで、PKOに関わる多くの論点を取り扱い、また自国の状況を十分に理解したうえで会議に臨むため、広い知識と会議準備が必要となります。論点ごとに議論・交渉が頻発するため、議論力・交渉力なども求められます。知識面・交渉面ともに、普段の会議よりワンランク上のレベルを目指したい方におすすめです。
・メンター制度などを通じて、事前の目標設定とその達成に向けたサポートを行うため、会議参加の目的意識が明確な方や、模擬国連で成長したい!という方におすすめです。

WTO非公式会合

・専門的な知識よりも知識の広さが問われますが、リサーチ面のサポートが用意されているため、求められる情報収集の能力はそれほど高くありません。一方で、合意に達するのが難しい議題であるため、交渉や会議戦略など、自分の会議行動を自分でリードする力が必要になります。初級者に向けられた会議でもあるので、会議でなかなか思うように行動できない、会議でどう動けばいいかわからないといった方におすすめです。
・参加者一人一人に担当のフロントメンバーがついて会議準備のサポートを行う、メンター制度が用意されています。一人での会議準備に不安がある人や、会議準備期間中のモチベーションが続くか心配な人がおすすめです。

UNESCO

・現代における情報秩序に対する問いを核として設計された創作会議であり、参加者自身の自由な思考と他の参加者との積極的な対話が求められます。専門的な知識や模擬国連特有のルールに通じている必要はないため、初級者から上級者まで参加可能です。
・議題への興味や海外参加者との交流など、やりたいことが明確にある人はもちろん、模擬国連の雰囲気に馴染めない、模擬国連を続ける意義を見失っている…という人に対してもオープンな会議です。海外模擬国連特有の、自由な思考・積極的な対話を尊重する雰囲気で、日本式の模擬国連とは違った楽しさを感じていただけます。
・フロントによるメンター制度が用意されているため、英語力・議論力に不安がある方でも参加可能です。

UNHRC(企業と人権)

・比較的新しい議題ですが、議題解説書などが充実しているため、情報収集・知識面で求められるレベルはそれほど高くありません。一方で、違う立場の国をどう巻き込み、どう物事を動かすのかが問われるため、会議戦略や交渉力を試したいという方におすすめです。
・自分の目標が明確か曖昧かに関わらず、他の参加者と一緒に成果を作っていく「協働」の経験をしたい方、これを英語という環境で経験してみたい方に向いた会議です。
・Skypeでの交渉練習やスピーチ原稿の添削など、英語面に関しても手厚いサポートが用意されているため、英語力に自信がない方でも参加可能です。「議題に興味はあるけど、英語力が心配…」という方にもおすすめです。

Six-Party Talks(六者会合)

・政治的な駆け引きが中心となる会議のため、高度で専門的な知識などをそれほど必要としない一方、会議戦略・交渉力が試されます。
・フロントによるサポートも用意されていますが、議題についての自発的な思考、他の参加者との積極的な対話が求められ、高いモチベーションが必要です。「議題について意見を深めたい!」「議題について他の参加者と交流したい!」といった方におすすめです。
・1分科会6人と小規模な議場であり、密な議論が期待されるため、ある程度高い英語力が必要です。英語で他国の主張を理解し、そのまま自国の主張を発信できるレベルの英語力を前提とした会議となっています。