自由権規約人権委員会

概要 会議テーマ 議題・論点説明 フロント紹介 大会企画 国選びのポイント

概要

議題(英語) Freedom of Opinion and Expression
議題(日本語) 表現の自由
議場 116th Session of the United Nations Human Rights Committee(自由権規約人権委員会)
扱う年代 2016年
設置国数(募集人数) 26ヶ国(全てシングルデリ)+14人(詳しくは「国割」参照。)
使用言語 公式:英語・日本語 / 非公式:日本語 / 成果文書:日本語
会議監督 冨田駿(東京大学経済学部 4年)
議長 川島瑛里子(早稲田大学政治経済学部 3年)
副議長 冨田駿(東京大学経済学部 4年)
藤川正志(大阪大学文学部 4年)
秘書官 長尾碧(国際基督教大学教養学部 2年)

※成果文書の言語を変更しました。

国割

○国家
Argentina
Denmark
Egypt
Eritrea
France
Germany
Iran
Jordan
Kazakhstan
Kuwait
Malaysia
Mauritania
Morocco
Philippines
Republic of Korea
Russian Federation
Spain
Sri Lanka
Syria
Thailand
Tunisia
Turkey
Turkmenistan
Ukraine
United Kingdom
United States of America

○専門家
下のPDFファイルを参照ください。
Specialists.pdf

会議テーマ

ブレない自分へ

自分は何がしたいのかわからない、自分が正しい自信がない、何かを実現することができない…一般に多くの人々が、こういった悩みに直面しているのではないかと思います。
私たちは、こういった悩みを乗り越えてほしいと考え、この会議テーマを設定しました。

会議テーマであるブレない自分になることとは、自分の意見や考えを持ち、そこで意見を持つだけに留まらず、自分の考えを行動に移すというような一貫した姿勢を身につけることです。

皆さんは、自分の周囲あるいは世界で起きていることに対して、どのように感じていますか? どうすればいいと考えていますか? この会議では、皆さんそれぞれが抱く感覚・感想をきちんと言葉にしてもらうことを目指しています。議題である表現の自由というテーマについて、ぼんやりと抱いている感想やイメージを明確な言葉にしてもらうことで、自分自身と向き合い、自分自身の考えを自覚するプロセスを皆さんに提供したいと思っています。

そして、自分の意見・考えを言葉にするだけでなく、ブレずにその意見・考えを目に見える形にするために行動を起こして欲しいと考えています。一般に、模擬国連の会議では、担当国の立場から自分で調べた内容をもとに構築した主張・意見をもとに、参加者は多くの事柄を発信し、多くの人を巻き込み、影響を与える、などできることを全て追求するのが望ましいと考えています。その一方で、これを実際にできている人は多くはありません。多くの人が、自信がなく、失敗を恐れ、行動をためらい、自分の考えを実現できていないと感じているのではないでしょうか。この会議でもこれらを実現するのは簡単ではありませんが、だからこそこの会議を通して、自分と向き合って足りないものを探り、失敗を恐れず、Try&Errorを繰り返す姿勢を身につけ、自分の考えを実現する力を獲得することに挑戦していただきたいのです。

せっかく自分の考えを言葉にすることができても、その言葉を自分の中にとどめている限りあなたの思いは誰にも届くことはありません。たとえ上手くいくかわからなくても、失敗を恐れずに自分の意見を周りの大使に発信していくこと、これを皆さんに経験していただくために私たちは、以下の工夫を行っています。

①議論の中で担う役割が必然的に大きくなる少人数制の分科会
②リサーチの補助だけではなく、参加者それぞれが自分の思いと向き合い、それを形にしていくお手伝いをするメンター制度

この会議を通して自分と向き合い、「ブレない自分」と出会いたい方は是非お越しください!

求める参加者

・自分の意見がよくわからない人
・会議が終わる度に、自分が会議場でなにをしていたのか、なにができるようになったのかわからないもどかしさを感じている人

参加者の皆さんは、この会議を通して自分の意見をしっかり形成することを目指していただきます。そのためにも我々フロントがメンター制度などを通じて、皆さんが自分の意見を形成し、それを行動に移すプロセスを提供します。さらに、自分の意見と一貫した自分の行動をとることで、皆さんの会議の中での成長と課題を実感できるようになる、つまり自分が会議でなにをしていたのか、なにができるようになったのかを実感することができます。上記にあるようなもどかしさを感じている方は、是非この会議に参加して自分がどのようにして意見を形成し、それを行動に移しているのか見つめ直してみてはいかがでしょうか。

議題・論点説明

議題説明

表現の自由は、既に認められている重要な市民的権利であり、民主主義の根幹をなすものと考えられています。しかし、近年のヘイトスピーチに関する議論などからもわかるように、表現の自由は常に認められる訳ではなく、宗教的・民族的憎悪を煽動するような表現や、テロリズムやジェノサイドを誘発するような表現、プライバシー権など他者の人権を侵害するような表現については、規制されるべきであると考えられています。そこでこの議では、どの程度まで表現の自由は制限されてよいのか? 現状の表現の自由に対する制限は過剰ではないのか? というような表現の自由に対する適切な規制の範囲について議論します。

論点説明

①宗教、民族、国家的中傷・憎悪の煽動
②国家・社会的秩序
③プライバシー権

①では他者の威信を傷つけ、また宗教的対立を煽るような表現は、どの程度まで制限されるべきかを議論します。②では、国家の秩序の維持の目的で、検閲や報道規制等をかけて表現の自由を規制することはどの程度認められるのかを議論します。③では、報道に際して個人情報を収集・蓄積・報道することはどの程度認められるのかを議論します。

フロント紹介

ディレク自己紹介

こんにちは。会議監督を務めます、東京大学経済学部4年の冨田駿です。
大学ではミクロ経済・ゲーム理論学を主に勉強しており、オークションに関する理論や金融市場の情報非対称性について学んでいます。
趣味は幼少期から現在まで続けているサッカーや、サッカーのみならずテニス・バスケットボールなどを含むスポーツ観戦です。

ディレクにとっての模擬国連とは

模擬国連を始めたきっかけ
私が模擬国連に出会ったのは、大学に入って間もないころ、サークル選びを考えていた時で、模擬国連サークルに勧誘され、その存在を知りました。模擬国連サークルの活動を見学したときに、先輩方の議論のレベルや発言のわかりやすさ・論理性に憧れ、自分もそうなりたいと感じたので、サークルに入って、模擬国連を始めることにしました。

印象に残っている会議
大学1年生の11月頃に、北朝鮮大使として参加したサイバーセキュリティの会議が印象に残っています。それまでの会議では、自分の大使行動に自信が持てず、何をすればよいのかわからない、大使として未熟な状態でしたが、自分でその現状を打破したかったため、多くの時間をかけて会議の準備をしました。それによって自信がついて、失敗を恐れずにチャレンジできるようになりました。

悔しかったこと
上述のように、かなりの時間をかけて準備したサイバーセキュリティの会議で、先輩の大使との交渉で合意形成に失敗したことが悔しかったです。準備を十分にしていっても、まだまだ自分には足りないことがたくさんあるのだということを痛感させられました。

その他模擬国連について語りたいこと
模擬国連という活動では、人とのコミュニケーションが不可欠です。国際会議で一定の結論を出すために、他の大使と議論し、交渉し、調整する際には、多くの場合相手はどんなことを言ってくるのか、相手はどうすれば妥協してくれるのか、というような相手に関する事柄に目が行きがちだと感じています。

しかし私は、模擬国連とは「自分との闘い」でもあると感じています。なぜなら模擬国連では、どんなに努力をしなくても、どんなに不十分な準備であっても、どんなに国益を守ることができなくても、実際の国際会議で国益を損なった場合とは異なり、それを責められることはないためです。つまり、模擬国連においては、模擬である以上、自分以外に自分を律する存在はいないということです。

もし当大会に参加していただけるのであれば、どの会議に参加するのであっても(もちろんこの会議でも)、自分を律し、自分のできることを最大限出し切るつもりで参加していただければと思っています。

フロントからひとこと

【議長】川島瑛里子(早稲田大学政治経済学部 3年)
会議が終わった時に自分が何をできたか、何をこれからできるようになったのか、みなさんが自覚できる会議になることを願っています。気付かなかった可能性に皆さんが気付けるように、精一杯お手伝いしていきます!

【副議長】藤川正志(大阪大学文学部 4年)
この会議を通して、皆さんと共に自分自身の深みと強みに気づき、これからの人生に、社会に、そして世界に自信をもって自分自身をぶつけていけるようになりたいものですね!
さあ、共々に自分自身を見つめなおす旅に出発しましょう!
どうかよろしくお願いいたします!!!

【秘書官】長尾碧(国際基督教大学教養学部 2年)
人の認識と行動にはギャップがあるということに、果たして皆さんお気づきでしょうか。この会議を通してそのギャップに自覚的になり、より良く自分の人生を生きることのできるようなお手伝いができればと思いますので、どうかよろしくお願いします!

ディレクから参加者へのメッセージ

私たちフロントは全力で皆さんの努力に寄り添います。しかし、皆さんの努力がなければ私たちのできることは大きく限られてしまいます。皆さんの参加と努力、そしてその先にある達成を楽しみにしています!

大会企画

概要

当企画において参加者の皆さんには、個人をテーマにしたプレゼンテーションをしていただきます。そしてその上で、参加者どうしが意見を言い合って「ブレない自分」というものを考えていただきます。企画の最後ではこの流れを踏まえての更なる振り返りを行い、実生活での次なるステップに繋げていただきます。

狙い

この会議議のテーマである「ブレない自分になる」ために、参加者の皆さんには会議準備段階から何度も「自分」を見つめなおし、自己の意見形成に自覚的になってもらうことになります。その集大成として当企画では、そうして浮かびあがってきた自分像を自分自身に落とし込んでいき、自分の実生活に繋げ、さらにはその自分像に自信を持つことを狙いにしています。

国選びのポイント

はじめに、この会議では、人権の専門家である「人」と、国の代表である「大使」が混ざって議論をします。人権の専門家は、人権理事会の理事である専門家として会議に参加していただきます。すべての人が自由権規約にあるような人権を享受できることを目指して、人権の専門家は各国の政策に対してコメントし、自由権規約がきちんと守られるよう努めていく役割を持っています。一方で、大使には、人権委員会にて意見をいう国の代表として参加していただきます。国の代表者たる大使は、自国の利益を守りつつ、人権の専門家や様々な関係国と交渉をしてもらうことになります。

人権の専門家は、人権の尊重を重視しているため、いわゆる「国際益」を主張することや、主張の中に参加者個人の価値観を入れていくことがしやすいと考えられます。一方国の大使は、国益という制約の中でどのように人権問題を改善していくのか、といった、よりリアルな問題解決への思考が求められると考えています。

人権の専門家

国連大使

○人権の尊重を目指す
○自分の価値観を反映
○国の利益を考慮
○リアルな問題解決への思考

これに加えて、専門家についても、大使についても、その中で立場に差異があります。

専門家は、その人の出身や経歴によって、各個人の意見に違いがあるはずです。専門家については、フロントから各専門家についての国籍や経歴等の情報を提供します。国籍や経歴等の情報は様々であるため、各専門家のスタンスはある程度左右されることになりますが、そういった専門家に関する情報をどれだけ重視するかといった点や、過去の経歴にどれだけ基づいてスタンスを決めるのかという点については、各参加者自身の考えにお任せする予定です。過去の経歴等の情報を踏まえ、自由権規約がきちんと守られることを目指す専門家として、論理的に、かつ参加者個人の価値観に従って、行動して欲しいと考えています。

大使には、各論点での対立軸を考えて、その立場を想像して欲しいと考えています。

論点①の宗教では、宗教的な冒涜となるような表現は、表現の自由によって認められるべきなのか? ということが主な対立点になっています。西欧諸国は表現の自由を重視していますが、イスラム教の国々では信教の自由が少ないところもあり、表現の自由よりも宗教的価値観が重視されています。こういった違いが国ごとにあると言えます。

論点②の国家秩序では、国家秩序を維持するために、表現に規制を行ったり、検閲をかけたりすることは認められるのか? ということを考えます。この論点では、国家の秩序のために検閲をしている中国やその立場に近い途上国は、表現の自由を守ろうとする専門家と対立することになると思います。

論点③のプライバシーでは、忘れられる権利という、ネット上のプライバシー権の一形態と考えられる権利と、表現の自由はどちらが優先されるのか? ということを考えることになります。忘れられる権利とは、個人に関するデータなど、個人情報がネット上にあったときに、それを削除したり、Googleでの検索では見つからないようにしてもらう権利のことです。欧州やアルゼンチンではこの権利が認められる判決が出ており、この新しい権利について積極的なスタンスを取っています。一方でアメリカなどの国は表現の自由を重視し、この権利に対して慎重な立場を取っています。こういった対立が考えられると思います。

上記のような対立を踏まえ、自分の価値観と照らし合わせ、どの立場であれば会議にモチベーションをもって臨むことができるか、考えていただければ嬉しいです。