昨年の全日本大会に参加された方々から、大会のご感想をいただいております。
年の暮れには年の自分の歩みを顧みるとともに、反省点から来る年の目標を編み出したくなるものです。その点、全日本大会は素晴らしい機会を提供してくれます。昨年の大会で、私はアメリカ大使として「難民」の会議(注:UNHCRの報告、難民、帰還民、強制追放者および、人道に関する問題)に参加しました。もともと興味のある分野であり、担当国もUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)との関係が深かったので、楽しくリサーチをすることができました。しかし、いざ会議が始まると議論の進め方に関する話し合いが紛糾し、時間不足に陥ってしまいました。会議後半の交渉では各国と自由に意見を交わすことができ、納得のいく決議を採択することができましたが、改めて会議におけるタイムマネジメントの重要性を痛感しました。
一方で個人としては、一年間の集大成と位置づけ、今までの会議で感じた反省点をふまえて臨んだこの会議で、アメリカの考えを各国大使に伝え、決議という形で世界に示すという点において一定の成果を残すことができました。また、大会を通じて国から集まった熱意ある参加者の方々と知り合えたのは、私にとって大きな収穫でした。学びあい、議論し、会議内外で交流するなかで、模擬国連の魅力は「ひと」だと改めて感じました。最後に、会議選びから会議後のレビューに至るまで、フロントの皆さんに的確なアドバイスを頂けたことに感謝しています。皆さんもぜひ自分に合った会議を見つけて、最高の思い出とともに一年を締めくくりましょう。
東京大学教養学部2年 模擬国連駒場研究会所属
第26回模擬国連会議全日本大会 国連総会第3委員会 アメリカ合衆国大使
川端万貴
模擬国連会議全日本大会に出場するのは昨年で2回目でした。一昨年の全日本大会では安全保障理事会のアメリカ合衆国大使という主役中の主役を任せられたものの、役割を十分に果たせず、心残りを抱えたまま終わってしまいました。そのため昨年の全日本大会では、モーリシャスというアフリカの小国を担当しつつも、一昨年のアメリカを担当したときよりも圧倒的に高い存在感、そして成果を出したいと考えていました。
昨年参加した会議の議題は「グローバリゼーションと人権の全面的享受」でした。「グローバリゼーション」は移民、食糧、環境、金融といった多岐の分野に渡るトピックであり、具体的な事例も膨大にありました。どこに「目標」を設定し、どういった「戦略」を立てるか、最初は非常に戸惑ったのを覚えています。結果的にはフロントのサポートもあり、入念に準備をすることで問題を整理できました。会議本番、議場は緊張感に満ちており、自分自身も珍しく緊張していました。しかし、「自分は挑戦者であり、やれるだけやってやろう」と考えることで緊張も解け、いつも通りに臨めました。参加者のレベルが非常に高く、議論も抽象的であり、終始苦労の連続でした。各国の「思惑」が衝突する議場の中で、必死に考え、交渉しているうちに大会期間が終わりました。
大会期間を通じて多くの大使と交渉し、「グローバリゼーション」の問題を真剣に検討する中で気づいたことがあります。それは「思考」と「対話」の重要さです。難しい問題に「思考」を巡らし、問題意識をもって相手と真剣に「対話」をすることが模擬国連、ひいてはあらゆる分野の活動において大切だと感じました。全日本大会に参加することで、当たり前のようでなかなか気づかない、「思考」と「対話」の大切さを学ぶことができました。
一橋大学社会学部3年 模擬国連国立研究会所属
第26回模擬国連会議全日本大会 国連総会第3委員会 モーリシャス大使
佐藤一誠
模擬国連に携わる人にとって一年の締めくくりとなるのが、年末に開催される全日本大会です。全日本大会は参加者一人一人がいろいろな価値をそこに見出せるものです。私は国際連合第一会期緊急特別総会(スエズ動乱)を模擬した会議にサウジアラビア大使として参加しました。会議では、優秀なイスラエル大使を前に国益を守ることができず悔しい思いをしましたが、自分がきちんと行動できたところ、できなかったところを振り返って反省したり、優秀な大使の会議での行動を見て学んだりと、多くの収穫がありました。
しかし、全日本大会が提供してくれるものはそれだけではありません。ここでは、大会に参加することで得られる「出会い」について紹介したいと思います。日本において模擬国連は、北は北海道から南は九州まで、全国に研究会・支部をおいて活動しているので、全日本大会には異なるバックグラウンドを持っている人が多く集まっています。今まで全く異なる生き方をしてきた人たちと熱い議論を重ねることで、刺激を受けることができました。また、刺激を与えてくれるだけでなく、何でも話すことのできるかけがえのない友が全国に、そして英語会議では海外にも、数多くできることでしょう。会議を通して新たな友だけでなく、一皮むけた自分自身にも出会うことができました。
最後になりますが、全日本大会への参加を考えている方は、ぜひその一歩を踏み出してみてください。皆さんも大会を通して多くの友、そして新たな自分に出会うことができるはずです。
同志社大学法学部2年 模擬国連京都研究会所属
第26回模擬国連会議全日本大会 国際連合第1会期緊急特別総会 サウジアラビア大使
下山光