模擬国連は、会議を通じて様々な技能を多角的に修得することができるため、人材育成の点から昨今注目を集めております。模擬国連は特に「問題分析能力・論理的思考」「相互理解・多角的視点」「Public Speaking・語学力」の3つの能力を鍛えることに長けております。
問題分析能力・論理的思考
模擬国連のリサーチ、政策立案、交渉、レビューといった一連の流れは、論理的思考能力および問題分析能力を高める絶好のチャンスです。必要な情報を膨大な資料の中から的確に判断し、それを会議の議題に合わせて取捨選択して政策立案を行います。立案した政策は交渉過程において他の大使を説得出来るようなものである必要があるので、実効的で論理的な政策を立案することが必然的に求められます。また、ある国際問題を解決するための政策を立案するためには、問題の構造を把握し、問題の本質を見極めなければなりません。このようなプロセスは模擬国連で扱われる国際問題だけでなく、あらゆる問題への解決策を立案する上で共通しており、このプロセスを経験することで、社会で活かすことのできる普遍的な能力を身につけることができます。
さらに、模擬国連においては他の大使が提示した政策が担当国の国益に合致するか、短時間のうちに判断しなくてはいけません。その過程では、俊敏で精緻な論理的思考力を鍛えることができるのです。
相互理解・多角的視点
模擬国連では、普段の自分の視点を離れ、一国を担う大使としての視点を持ち会議に臨むことになります。そこでは、時として自分の思う意見とは異なる主張を、国の代表として行わなければならない場面に遭遇し、自分の考えと国家の責任の両者の折り合いをいかにつけるかなどという様々な葛藤が生まれます。
また、模擬国連はディベートとは異なり、勝敗をつけるものではありません。
つまり、一国の主張を押し通すことではなく、国際社会全体での合意が求められるため、いかに両者が向き合って真摯に交渉することができるかが会議での成功のカギとなります。
会議を通してそのような葛藤や真摯な交渉を経験することで新しい視点を発見することができ、主観的でなく客観的に国際問題への理解を深めることができます。 このような問題へのアプローチ方法により、様々な物事に対し多角的視点から検討する姿勢を身につけることができます。
Public Speaking・語学力
模擬国連会議の中で行われるスピーチや全体の場での発言においては、限られた時間の中で自国の「いいたいこと」を明確に伝える技能が求められます。また、そこではただ主張をするだけではなく、様々な工夫を用い、他の大使に聞いてもらう努力をしなければなりません。
その努力を通して、Public Speaking能力やスピーチ技能を高めることができます。
また、そこでの発言や決議文書の執筆は英語で行われることが多く、語学力の向上も期待することができます。
特に、会議中の公式・非公式な交渉から休憩時間の雑談まで、すべて英語で行うことが求められる「European Council」と「HABITAT III」の2つの英語会議は、英語で硬軟織り交ぜた交渉を展開する高度な能力を身につけることができる場となっております。