場所:都立大泉附属中学校
日程:2024年3月14日(木)8:40~12:30
議題:第10回核不拡散条約再検討会議
講師:寺井龍吾、水越萌巴、矢島大誠
参加者:都立大泉附属中学校3年生120名
【概要】
★ 体験プログラム(8:40から12:30)
参加国(40か国):アイルランド、アメリカ、イギリス、イスラエル、イラク。イラン、インド、インドネシア、エジプト、エチオピア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カザフスタン、カナダ、ケニア、コスタリカ、サウジアラビア、スウェーデン、タイ王国、チュニジア、チリ、ドイツ、トルコ、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、フィンランド、ブラジル、フランス、マーシャル諸島、マレーシア、メキシコ、ロシア、韓国、南アフリカ、北朝鮮、日本、中国、キューバ
議論①:大論点1「今後の核軍縮について」(9:00~11:00) 今後の核軍縮の方針について交渉が行われました。はじめはEU、アフリカ諸国、アジア、アメリカなど様々なグループに分かれてグループ内交渉が行われていましたが、時間が経つにつれてどんどんグループ間でまとまりだし、最終的にはフィリピンを中心とする核軍縮積極派と、アメリカを中心とする核軍縮消極派の2つのグループになりました。その後、全会一致の成果文書作成に向け、2つのグループ間で核軍縮の基準について議論が交わされました。
議論②:大論点2「ZNPP(ザポリージャ原子力発電所)の管理について」(11:00~11:50) 大論点1の方がインセンティブが強い国が多いことに加え、今会議のメインの論点が核軍縮規定だったことから、多くの国が依然大論点1についての議論を行っていた一方で、オランダを中心としたEU諸国が大論点2の議論を積極的に主導していました。
議論③:DR(成果文書)作成に向けて、議長主導での全体交渉(11:50~12:20) 今会議では論点ごとに交渉の時間を設け、時間を区切ってDRを別々に提出していただく方針を取りました。その結果、大論点1については8個、大論点2については4個、計12個のDRが提出されました。大論点2で出された4つのDRのうち3つは相反する内容であったため、大論点1のみ議長主導で、全会一致に向けたシッティングコーカス(着席型での全体交渉)を行いました。
投票:(12:20~12:30) 大論点1については、
・対北朝鮮に対する不可侵条約 ・核軍縮については現状維持
・NPTに加盟していない国は加盟している国に対してウランの輸出量を9割5分削減し、加盟している 国にはウランの輸入を奨励
・アメリカはイランの経済制裁の解除を、イランはウラン濃縮の減少を協議
・インドとパキスタンが包括的核実験禁止条約に署名
・中東諸国の不可侵条約 ・ガザ地区について、イラク、イランからのハマスへの資金的援助を停止し、アラブ人による共和国をヨルダン川西岸の二つのアラブ人居住地区をパレスチナとして独立させ、周辺国はこれを承認する。また、イスラエルはガザ戦闘終結後のパレスチナ人への教育、医療、インフラ等の資金的援助の義務を負う。また、エルサレム旧市街は国際管理とする。 という内容のDRが全会一致で採択されました。
大論点2については、アメリカから提出されたフランスの原発をアメリカが共同で動かすことで、安定したヨーロッパへの電力供給を目指した内容のDRと、ドイツから提出されたザポリージャ原子力発電所からのロシアの撤退を要求する内容のDRが、それぞれ賛成多数(過半数以上の賛成)で採択されました。
【講師からのコメント】
今年度初めての事業となった、都立大泉附属中学校での模擬国連体験会議。40か国120名という大規模な形で第10回NPT再検討会議を実施しました。今会議が行われる前に、3回ほど中学校の方にお邪魔させていただき、第1回は模擬国連の簡単なガイダンスを、第2回は担当国についてのリサーチの方法を、第3回は会議当日に向けた前日ガイダンスをそれぞれお話させていただきました。
今回は生徒の皆さんに、社会科の授業の時間を使って各国大使になりきるためのリサーチをしていただいたうえで会議に臨んでいただきましたが、会議当日は中学生とは思えないロジカルな思考力、コミュニケーション力、交渉力、対応力を沢山目にすることができました。核の議論はとても難しいだけでなく、実際のNPT再検討会議も中々合意を生むことが難しくなっていますが、今会議で採択されたDRの中身を見てみると、現在も署名していないインドとパキスタンが包括的核実験禁止条約に署名をする内容が明記されていたり、対北朝鮮に対する不可侵条約の内容が書かれていたりと、史実を超える内容が沢山見受けられました。
このような帰結は我々事業部も予想していなかったものです。このような帰結が生まれたのは、皆さんが沢山調べて準備をし、各国大使として国益獲得と議場の合意のために全力で交渉した結果に他なりません。我々自身とても学びの多い会議となりましたし、会議が終わった後に「楽しかった」という声を沢山いただいて、嬉しい限りです。 今会議に参加してくださった都立大泉附属中学校3年生の皆さん、そしてご協力いただきました教職員の皆様、有難うございました。 (水越)
—- 講師派遣事業に関するお問い合わせ・ご相談 →日本模擬国連 事業担当:project.jmun@gmail.com