会議詳細-移住労働者の人権保護/Protecting the Human Rights of Migrant Workers

【会議設定】

会議監督(名前/研究会) 松島徹/早稲田大学/3年/早稲田研究会
議題(日本語/英語) 移住労働者の人権保護/Protecting the Human Rights of Migrant Workers
議場(日本語/英語)、設定年 第72回国連総会第三委員会/The 72nd Session of the United Nations General Assembly Third Committee、2017年

【会議監督挨拶】

皆さんは、「移民」や「移住労働者」という言葉を聞いてどのようなことを考えるでしょうか。ヨーロッパを中心に起こっている「移民危機」をイメージする人もいれば、ISISをはじめとするテロリズムの拡大の一助となっている、と考える人、「そもそも移民と難民の違いって…?」と疑問が浮かんでくる人もいるでしょう。しかし、こうした考えや疑問は、移民を「現象」として捉えているが故に生じてくるものではないでしょうか。
ここで、移民一人ひとりを「人間」と捉えてこの移民問題を見てみると、また別の本質に気づかされることになります。私たちが普段当たり前のように享受している権利、たとえば差別を受けず公平な行政サービスを受ける権利、子どもが基本的な教育を受ける権利、労働に関する権利などを享受できない移民、あるいは移住労働者が途上国はおろか、先進国の中にさえ多くいるのです。 国際社会は彼らの権利保護に向け、これまで1世紀近くにわたり議論を行い、条約の成立・発効にいたってきましたが、移民受け入れ国を中心に批准を見送る国も多く、成果は十分でないと言えます。移民の数が2億人を超えなおも増え続けている現在、移住労働者の権利をめぐる諸問題は、移民を送り出す側・受け入れる側問わず、世界全体において解決が迫られている課題となっています。

純粋に議題に興味がある、人権保護に向け、国益だけでなく国際社会が取るべき方策についてより深く考えてみたい、英語で会議に挑戦してみたい、など参加動機は何でも構いません。フロント一同皆様のご応募お待ちしております!

【会議テーマ】

会議テーマ:Face Up and Speak Up

今会議において、参加者の皆さんにはFace Up「直視する」こととSpeak Up「自分の意見を自由に伝える」の2点を意識して会議に臨んでいただきます。

まず、”Face Up”について、世界各地で移民問題が起こっていること自体を知る人は多いと思いますが、特に日本においてそうした問題の背景や利害関係というものにはなかなか光が当たることが少ないように感じます。 今回の会議は、そのような今まで光が当たってこなかった部分を直視して考えていくものとなっています。

一方”Speak Up”について、この会議は日本全国のみならず世界各国から参加者が集う英語会議となっています。中には英語に自信がなく、会議への参加に不安を感じる人も少なくないかもしれません。しかし、自分のスタンスや「伝えたいこと」を明確にできれば、仮に英語が完璧ではなかったとしても、あなたの発言は議場にとって大きな意味を持つものになりえます。フロントも皆さんが自信を持って会議に臨み、積極的な議論が行えるよう勉強会をはじめ充実したサポートを提供していきます。

この会議で議題を、そして会議での自分の行動を「直視」し、様々なバックグラウンドを持つ人々と対峙し「意見を自由に、かつ明確に伝える」という経験は、 参加者の皆さんが今後模擬国連内外の活動をしていく上での大きな自信につながるということを我々フロントは願ってやみません。

【本会議を通じた参加者への「問い」】

How should international society ensure migrant worker’s rights?

 今会議における移民とは決して単一なものではなく、彼らの置かれた環境は合法か違法かといった法律上の身分、出身国及び移住先国、年齢、性別など様々な要素により異なってきます。また、会議参加者のほとんどは「国」として会議に臨む以上、その国民の利益を無視することはできません。移民としての地位や、移民であるか否かに関わらず人間らしい生活を送るために国際社会はどうあるべきかを考えることがこの議題のキーポイントであるといえます。

【求める参加者】

1) 多様なバックグラウンドを持つ参加者と共に英語で活発な議論を行いたい人。
英語に自信がある方はもちろん、そうでなくても「異なるバックグラウンドを持つ他者に的確に考えを伝えられるようになりたい」という皆さんにおすすめです。
2) 自分の会議行動を見つめ直し、苦手部分を克服したい人。
  特殊なプロシージャや規則が少ないため、模擬国連における自分の会議行動を見つめ直したい人に向いています。初心者だけでなく、 会議やその準備過程で自信がない部分があるという方の参加もお待ちしています!

【議題解説】

世界には2億人を超える移民が生活しており、 その多くは「移住労働者」として労働に従事しているとされています。しかし、移住労働者を取り巻く環境は国や地域により大きく異なり、移住先での労働に際して十分な権利を保障されず、移民というだけで十分な賃金が保障されない人々や、危険を伴う仕事を強いられる人々が増えているのもまた事実です。
また、移住労働者だけでなく、彼らの家族として移住してきた人々も同じように権利が保障されていない場合が多く、日常生活や子どもの教育などを様々な場面で困難に直面することは珍しくありません。1990年に国連は「全ての移住労働者及びその家族の権利の保護に関する国際条約」を採択し同条約は2003年に発効されたものの、移民受け入れ国や先進国が消極的な立場を取っていること、批准国が少なく条約の実効性は低い状態にとどまっていることもあり、保護の動きは停滞していると言っても過言ではありません。
世界各地で移民が急増し、それを様々な問題が顕在化している現代であるからこそ、彼らの人権をめぐり国際社会はどうあるべきか、移民を送り出す国、受け入れ国など様々な立場から考えていただきます。

【論点解説】

1. Ensuring an accessibility to appropriate legal and social security system for migrant workers
移住労働者に対する適切な司法・行政サービスへのアクセス確保

 移住労働者の多くはその国の国民と比較し、法律などにより権利が制限されており、公平な司法・行政サービスを受けることができない環境に置かれています。人権上の観点から彼らにそうした権利を認めることが望ましいとされる反面、権利を認めることがかえって不法移民の増加を招くのではと懸念する国家も少なくありません。


2. Ensuring the right to work and working conditions
移住労働者に対する労働の権利および適切な労働条件の確保

 移住先において就労するにあたり、劣悪な条件下での労働を余儀なくされている、その国の国民に比べ不当に低い賃金での労働を強いられるなど 労働に関する諸権利が保障されていないケースがあります。こうした状況をどのように打開していくか、自国民の雇用確保とどう両立させていくかが問われています。


3. Promoting the human rights of relatives of migrant workers, especially women and children
a) Preventing violation and discrimination to women and children
b) Ensuring the access to education for immigrant children
移住労働者の親族、特に女性や子どもの権利保障、暴力・差別の防止及び子どもの教育の推進

 移住労働者 の中には家族、親族とともに移住した人びとも多く、彼らの人権問題を切り離して考えることはできません。国や地域によって状況は異なりますが、女性に対する差別・暴力や子どもに対しての強制労働問題や移民の子どもの教育問題を中心とする、移住労働者の「家族」に対する人権の保護も大きな課題となっています。


 各論点とも、数十年前から議論され、これまで国連において採択されていた諸条約にも規定されているものですが、批准国数の少なさや先進国の消極的な態度によりうまく機能していない、ということが一つの問題となっています。単にグルーピングなどという形で上記の論点を別々に話し合うだけでなく、それによって得られた解決策の重要性をどのようにして国際社会に訴えかけていくか、ということも議論のおけるポイントの一つとなります。

【フロント紹介】

会議監督/松島徹/早稲田大学/3年/早稲田研究会
議長/木次大樹/同志社大学/2年/京都研究会
秘書官/今治里菜/早稲田大学/4年/早稲田研究会
秘書官/森川恵菜/慶應義塾大学/4年/日吉研究会
報道官兼副会議監督/野村ニイナ/神戸外国語大学/2年/神戸研究会

【国割】

Afghanistan Algeria Argentina
Australia Bangladesh Brazil
Canada Chile China
France Germany India
Indonesia Iran Italy
Japan Malaysia Mexico
Morocco Nigeria Philippines
Sweden Turkey United Kingdom
United States International Organization for Migration (Observer) Special Rapporteur on the Human Rights of Migrants (Observer)

すべてペアデリ。ただし応募時点では1人でも構いません。その場合は事務局でペアを調整させていただきます。