会議詳細-宇宙活動に関する国際行動規範/International Code of Conduct for Outer Space Activities

【会議設定】

会議監督(名前/大学/学年/研究会) 菊本雅人/同志社大学/3年/京都研究会
議題(日本語/英語) 宇宙活動に関する国際行動規範
International Code of Conduct for Outer Space Activities
議場(日本語/英語)、設定年 「宇宙活動に関する国際行動規範」多国間交渉会合
ニューヨーク・国連本部にて
Multilateral Negotiations on International Code of Conduct for Outer Space Activities
In New York, United Nations Headquarters

設定年度:2015年(7月27日~31日)

【会議監督挨拶】

こんにちは。会議監督の菊本雅人と申します。
当会議を一言で言うと
「宇宙空間における、宇宙活動の新しい国際ルールを策定する会議」です。

宇宙空間は今や人類全体にとっての重要な財産である一方、どの国の領域にも属さない国際公共財です。国際公共財は全ての国が利用できるため、そこでの問題は単独の国家による取り組みで解決することは極めて困難 です。よって、解決には国際協調が必須であることから、国際社会全体が合意し遵守されるルールが必要とされます。
よって当会議では、対立が収まらず成果が生まれづらいディベート的な議論よりも、 全体で合意を積み重ねつつより良い成果を目指す方向性の議論を深めていくことが求められます。

一見難しそうな会議に見えるかもしれませんが、ご安心ください。
国選びのポイントの箇所で後述しますが、参加国を特に議題に利害関係を有する少数の国に設定し、一国一国に対してリサーチから会議行動まで手厚くフロントがサポートします。
さらに全ての国にペアデリで応募が可能なので、ペア同士で協力して会議に取り組めます。
また、戦略的な要素をできる限り削り、議題と担当国の立場の深い理解に基づいた実質的な議論に集中できるように設計しています。

このような議題設定・会議設計の裏には、徹底的に議題や担当国の立場を理解した上で徹底的に他の参加者と議論する経験をしてほしいという願いがあります。
私は、その経験の先でこそ「国際問題の理解」や「考える力・伝える力の向上」といった模擬国連活動の意義が現実のものになるのだと考えています。

「スケールの大きな国際問題を」「担当国の立場で」「徹底的に議論する」
シンプルにこの点を重視した当会議で、模擬国連活動の意義に迫ってみませんか?

【会議テーマ】

「模擬国連の価値を見つめ直し、自分にとっての模擬国連の意義を考える」ことを
会議テーマとしています。

私は、模擬国連活動の価値を
「担当国の代表として 思考を巡らせ国際問題を議論することによって、国際問題や国際政治への深い理解が得られるとともに、考える力や伝える力、物事を見る広い視野などを向上させられること」であると考えています。

確かに、既存の模擬国連活動では担当国の立場に立って国際問題を議論しています。
しかしながら、上に挙げたような価値は十分に実現できているでしょうか。
もっと模擬国連活動の価値を引き出せる工夫の余地があるのではないでしょうか。
そんな疑問から、当会議は出発しました。

そこで当会議では、上述したような模擬国連活動の価値を引き出す工夫として
「議題や担当国の立場の深い理解に基づいて」
「掘り下げることで様々な学びを得られる国際問題を」
「徹底的に他の参加者と議論する」 
この体験を最大限味わうことができるように、様々な工夫を凝らして会議設計や議題選択を行いました。
なぜなら、全力でそういった体験をすることの先でこそ、国際問題や国際関係への深い理解や、考える力・思考する力の向上といった模擬国連活動の価値をよりはっきりと実感できると考えているからです。

当会議が、皆さんにとっての模擬国連活動の価値や楽しさを見つめ直し、今後の模擬国連活動の糧を得ていただける機会になればと思っています。

【本会議を通じた参加者への「問い」】

「どのようにして国際公共財を維持するべきか」
国際問題や国際関係への視点を広げることを目標に、海洋・地球環境・サイバー空間・そして当会議で扱う宇宙空間など、どの国の領域にも属しない一方で我々の生活に深く関わる、いわゆる国際公共財が今抱えている問題(例えばフリーライダー問題※1や共有地の悲劇問題※2 など)について、その問題の原因、そして解決策=どうすればこういった公共財を安定的に利用していけるかといった点を考えていただきます。

(※1:公共財の維持のためのコストを払わず、利益だけを得る者)
(※2:公共財を個人が自己の利益を最大化するために利用した結果、共有地そのものが崩壊し、利用者全員が損害を被ること)

【求める参加者】

経験や知識は問いません。
模擬国連という活動を見つめ直してみたい方や、発言することや議論することへの自信をつけたい方 、宇宙空間における国際ルール策定というスケールの大きなテーマについて、議題や担当国の立場を深く理解して全力で議論してみたい熱意のある方をお待ちしています。

【議題解説】

かつてより宇宙空間は科学者や技術者の知的探求の舞台であり、また国家による威信の発揚や利益の獲得の舞台でもありましたが、今やそれらのみに留まらず、現代社会では宇宙空間を利用した測位・観測・通信などの様々な技術が我々の生活を支えています。
現代の宇宙空間は人類全体にとっての重要なインフラであると言えるでしょう。

しかし宇宙利用が活発になる一方で、人工衛星の衝突リスクの高まりやスペースデブリ (いわゆる宇宙ゴミ)の増加などによる宇宙環境の悪化、宇宙利用技術は国家安全保障の面からも有益であることに伴う宇宙空間の軍事化など、現在の宇宙空間は市民生活のレベルにまでその重要性が増す一方で、その平和的・安定的な利用を脅かしかねない様々な問題を抱えています。

1967年に発効した宇宙条約以降、宇宙空間における国際ルール策定の動きは主要宇宙利用国間の対立等により停滞していましたが、近年の急速な宇宙空間の状況の変化によって、新たな国際ルール策定に向けた機運が高まっています。

このような背景の下、当会議の参加者の皆さんには、現在の宇宙空間における問題に対処し、宇宙空間の平和的・安定的な利用を確保するためのルールについて考えて頂きます。

【論点解説】

当会議の論点は大きく分けると
「現状認識・目的設定」「具体的内容の策定」「今後の取り組みについて」の3点に分けられ、参加者の皆さんにはこの一連のプロセスを通じて宇宙空間における国際ルールの策定について議論して頂きます。

論点1:「宇宙活動に関する国際行動規範」の一般原則について
この大論点では、「宇宙活動に関する国際行動規範(宇宙行動規範)」の
具体的内容に入る前段階として、宇宙空間の現状認識および問題の洗い出しや、既存の枠組みの再検討を通じて、宇宙行動規範による規律対象の設定や基本原則の策定を行います。

論点2:「宇宙活動に関する国際行動規範」の具体的内容について
ここでは、論点1での議論を踏まえて、具体的なルールの内容、すなわち現在の宇宙空間における問題の対応を考えていきます。
また、議論のイメージをより明確にするため、想定される議論の枠組みについて以下のような図を用意しました。
Space Securityに関する問題群
(軍事的な脅威への対応について)
Space Safetyに関する問題群
(非軍事的な脅威への対応について)
(想定される議論の例)
・宇宙における自衛権行使の要件
・衛星に対する干渉はいかなる際に認められるべきか
(想定される議論の例)
・スベースデブリ低減のための措置
・宇宙における紛争防止・解決システムの構築
・TCBM・SSAの促進
・宇宙空間の平和的利用
・宇宙開発協力の推進
ここに挙げているのはあくまで想定される議論の例ですが、当日の会議でもおそらくこれらに関しては議論していただくことになると思われます。

論点3:今後の宇宙活動に関するルール策定の取り組みを進める枠組みについて
これまで宇宙空間に関する会合が行われてきた機関は国連宇宙空間平和利用委員会、ジュネーヴ軍縮会議、国連総会の各主要委員会などがあります。
それぞれの機関にはそれぞれの性質があり、同じ問題を扱うにしてもアプローチの仕方や出される結論が異なってきます。
この論点では、今後の宇宙活動に関する国際ルールの策定を進めるにあたって、どの枠組みで取り組むべきかを議論します。

【フロント紹介】

会議監督/菊本雅人/同志社大学/3年/京都研究会
副会議監督/中村有沙/上智大学/2年/駒場研究会
議長/吉田竣/同志社大学/3年/京都研究会
秘書官/齋藤直紀/金沢大学/4年/北陸支部
秘書官/宮本彩加/明治学院大学/2年/日吉研究会
報道官/東深澤武史/上智大学/3年/四ツ谷研究会

【国割】

Argentina Brazil Canada
China France Germany
India Japan Malaysia
Nigeria Russian Federation South Africa
Thailand United Kingdom United States
European Space Agency (Observer) United Nations Office for Outer Space Affairs (Observer)  

※原則ペアデリ制
相手が見つからない場合、人数が許す限りで例外的にシングルでの参加も可能ですので、希望する場合は申込みフォームの「会議希望理由」の欄にその旨をお書きください。
ただし、人数が多い場合は、事務局の方でペアを作らせていただくことになりますので、ご了承ください。(その場合、JMUN会員以外の方のシングル参加を優先させていただきます)


【国割選びのポイント】

まず 当会議の国割の特徴として3点挙げます。

一つは、全てペアデリで応募が可能であることです。
会議準備から当日の会議までペアとともに取り組むことによって、より深い担当国の立場や議題への理解を図ることに加え、ペア内で互いの長所・短所から学び合う相互学習効果を引き出すことを意図しています。

もう一つは、設定国を宇宙空間にとりわけ利害関係を有する比較的少数の国に絞っていることです。
これによって一国一国に寄り添ったフロントサポートが可能となり、また議論の拡散を防ぐとともに一国一国が議場で担う役割を大きくし、議論への積極的な参加およびしっかりと議論を深められることに繋がると考えています。

また宇宙活動は地域間での協力が欠かせず、実際に協力が進んでいる事業でもあるため、いわゆる地域大国に該当する国を担当される方は自国のみならず地域全体の代表としての立場にも立つことが求められます。

それでは当会議の国割の特徴を述べたところで、国選びのポイントを簡潔に以下のようにまとめましたのでぜひご覧ください。
ただ、当会議では繰り返しお伝えしているように「担当国の立場を深く理解する」ことを会議に臨む上での前提としています。そのため、ここではそれぞれの国のスタンスや特徴に関しては軽く触れるのみにとどめておきます。
希望国を提出される前に、ぜひ一度各国の宇宙開発機関のホームページなどを通じて、担当したい国の宇宙利用の状況などについて調べてみてください。
分類(仮称) 特徴 該当する国・団体 こんなひとにオススメ
宇宙大国 世界の国々の中でも軍事・民生双方で突出した宇宙利用能力を持ち、宇宙利用に大きな利益を有する国々 アメリカ
ロシア
中国
議場で中心的な役割を発揮して、会議準備から会議本番まで全力で取り組んでみたい熱意を持っている人。
宇宙利用国 宇宙大国ほどではないものの、世界の国々の中でも高い宇宙利用能力を持つ国々 日本
ブラジル(※)
インド(※)
南アフリカ(※)
フランス(※)
イギリス
カナダ
ドイツ
自国の利益と国際社会全体の利益の双方についてしっかり考えたい人。
自国の立場だけでなく、地域の代表としての視点も持って会議したい人。
(※印が該当)

潜在的宇宙利用国 宇宙利用国よりも劣るが、宇宙利用能力を獲得しつつあり、今後の発展の見込みがある国々 タイ
マレーシア
ナイジェリア
アルゼンチン
現状の問題解決だけでなく、将来にわたる自国や国際社会の利益もしっかり見据えて会議したい人。

オブザーバー 地域内・地域間・国家間の宇宙開発における国際協力の推進や活動の調整、宇宙空間の問題に対する様々な取り組みや会合の開催を実施。 ESA
(欧州宇宙機関)
UNOOSA
(国連宇宙局)
国益という観点からは離れて、個人として宇宙空間の問題を考えたい人。
議論のとりまとめや全体の意見調整をしてみたい人。

(国割は調整中であり、正式募集の際に変更される可能性があります)