【会議設定】
会議監督(名前/大学/学年/研究会) | 大内朋哉/東京大学/4年/駒場研究会 |
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議題(日本語/英語) | Declaration on fundamental principles concerning the contribution of the
mass media to strengthening peace and international understanding, to the
promotion of human rights and to countering racialism, apartheid and incitement
to war 平和および国際理解の強化ならびに戦争宣言、人種差別主義およびアパルトヘイトとの戦いにおけるマスメディアの貢献を律する基本原則に関する宣言(通称「マスメディア宣言」) |
議場(日本語/英語)、設定年 | 国際連合教育科学文化機関第20会期総会/UNESCO、1978年 |
【会議監督挨拶】
この会議では、議題を様々な角度から見ながら、他の参加者と正面から誠実に議論を重ねることに力を入れています。 多くの模擬国連の会議では、会議の時間内にやらなければいけないことが多く、議題そのものをじっくり話し合う時間はあまり長くありません。現実では数日間議論していたはずのことを、1、2時間で終わらせねばならないこともあります。また、会議成果や会議中の言動が未来にどんな影響を与えるか想像することは難しく、その場限りの会議行動をしてしまうこともあります。しかしそうした会議では、現実の外交を模擬するという模擬国連の良さも、国際問題を楽しみながら考えるという模擬国連の良さも、十分に生かせてはいないのではないでしょうか。 この会議では、通常の模擬国連で行われる流れの一部、決議案が提出されてから投票にかけられるまでを切り取り、4日間話し合います。文言をめぐる交渉を通して、対立する所はしっかり時間をかけて議論できるようにしています。また、会議準備をはじめ企画としての共同記者会見など、会議の影響を受けるメディアや国内の政策担当者の立場からも議題を考えることができるよう心がけています。 模擬国連の経験の有無に関係なく楽しめるよう、模擬国連特有のルールはほぼなく、議論の進め方も皆さん次第です。参加者と意見を交わし合い、1つの成果を目指すこと。そこに力を注ぎたいと考える皆さんの参加を待っています。 |
【会議テーマ】
会議テーマ:「見つめなおす」 何を見つめなおすのか。会議を設計する側である私たちから具体的に提示することは何もありません。大会テーマである”Before the Border”のように、歴史会議を通して現代の問題を見つめなおす、ということもあるかもしれませんし、模擬国連のことや自分自身のことを見つめなおすというのもあるでしょう。 私自身模擬国連を通して、自分の能力について、興味のある分野についてなど、気付くことは色々ありました。特に全日本大会は、これまで当たり前と思っていたものを、改めて見つめなおすことのできる機会です。誰かに言われたからでなく、自分で決めたことをとことん考えるからこそ、今後にも活きてくるような気づきが得られるのだと思います。 何かを見つめなおした結果、それを変えたいと思うこともあるでしょう。このままでいいと思うこともあるでしょう。どんな結論も間違いではありません。考えることをやめず、皆さんがスッキリした顔で会議を終えてくれることを願っています。 |
【本会議を通じた参加者への「問い」】
「会議当時(1978年)と現代とで、メディアのあり方や求められる役割にはどのような共通点、相違点があるのか。」 会議が行われた1978年当時にメディアに関して生じていた問題の中には、メディアへの国家統制や情報格差など、現代にも依然として残っているものもあります。約40年の年月の間に、国とメディアのあり方にはどのような変化があったのでしょうか。 |
【求める参加者】
・他者の意見を十分に聞き、自分の意見を十分に話したい方 時には対立しながら、時には一緒に悩みながら、他の参加者と意見を交わし合って1つの成果を目指すことに力を入れたい人を歓迎します。 ・国家の立場から議論することに興味のある方 この会議では模擬国連特有のルールはほぼありません。模擬国連の経験を問わず、国の立場を十分に理解した上で議論したい人を歓迎します。 |
【議題解説】
1978年当時、インターネットも十分に普及していなかった時代に世界に向けてニュースを発信できたのは、ロイターやAFPなどのわずかなメディアに限られており、多くの国がそこからニュースを買って自国内に伝えていました。 世界に情報を発信できるメディアは主に西側の国に分布していたため、世界のニュースが西側の国によって歪めて伝えられているのではないかという不信感が東側の国には生まれていました。加えて、東西どちらにも属さない非同盟の国からは、全ての国が世界へ情報を発信できるメディアを有するような新しい世界を目指すべきだという主張がなされるようになりました。一方で西側の国も、一部の国で行われているメディアやジャーナリストへの統制を批判するようになりました。こうした各陣営の意見が広く闘わされたのがこの議題です。 マスメディア宣言をめぐる議論は10年にわたり激しく対立し、1976年の総会でも宣言案が廃案となっています。1978年に開かれた今回の会議は、前回の総会でまとまらなかった意見を1つの宣言として完成させることができるかが最大の焦点となります。 |
【論点解説】
この会議では具体的に論点があるというわけではなく、論点は皆さんが会議の流れに応じて考えていくことが多くなると思います。しかし、会議をする上で避けることができない論点としては、以下のものが挙げられます。 ①国際的なメディアの分布格差 西側の国に国際的なメディアが多く分布する現状は変わるべきか、どうすれば現状を変えることができるのかを考えます。 ②「情報の自由な流れ」について 情報の自由な流れは、メディアが自由に活動できれば実現するのか、国家が介入することで実現するのかという論点です。東西対立だけでなく、途上国の意見も激しく対立した論点です。 ③国内でのジャーナリストやメディアの統制について 国境を越えて活動するジャーナリストをどう保護するか、また、国内メディアへの政府の統制はどの程度認められるのかなどを話し合います。内政不干渉などの点から問題となります。 |
【フロント紹介】
会議監督/大内朋哉/東京大学/4年/駒場研究会 副会議監督/木下郁英/東京大学/4年/駒場研究会 秘書官/村田侑紀/立命館アジア太平洋大学/3年/九州支部 秘書官/小川絹恵/法政大学/3年/四ツ谷研究会 |
【国割】
Algeria | China | Cuba |
Egypt | France | Indonesia |
Japan | Poland | Sudan |
Tunisia | Union of Soviet Socialist Republic | United Kingdom |
United States | Venezuela | Yugoslavia |
※すべてペアデリ
【国選びのポイント】
議題が冷戦の影響を受けたものということもあり、西側の国・東側の国・どちらにも属さない非同盟の国という大きく3つにグループ分けをすることができます。しかし、明確に全ての国を分類することはできませんし、実際の会議では国の大小や所属するグループを問わず、各国が様々な提案をしていました。 そのため国を選ぶ際には、各国の会議行動の軸となる価値観で考えてみるとよいかもしれません。この会議ではマスメディアと国家の関係について、メディアの活動に国家は極力介入すべきでないとするこれまで価値観と、自由な情報の流れのためには国家の積極的な関与が必要であるとする新しい価値観がぶつかりました。これまでの価値観を守りつつ他国にもそれを広めたいという西側の国か、新しい価値観を他国の理解を得ながら確立していきたいという東側の国、非同盟の国か。どのような立場で4日間の議論に参加したいかによって国を選ぶことができると思います。 アメリカやイギリス、ソ連などの各陣営を主導していた国や途上国の旗振り役だったチュニジアなどは、会議中に意見を求められることも多いと思うので、準備が比較的必要になるかもしれません。ただ、そうした国は資料も比較的多く立場も明確なことが多いので、模擬国連の経験に関わらず、多くの参加者と最後まで誠実に議論を続ける意欲のある方であれば十分に務めることができると思います。 |