第12弾 国連ボランティア計画(UNV)東京事務所 長瀬慎治駐在調整官インタビュー

日本模擬国連の長川美里(上智大学2年)・田川映梨子(東京大学3年)が、国連ボランティア計画(UNV)東京事務所の長瀬慎治 駐在調整官にお話を伺いました。

目次

1-1. UNVの活動について簡単に教えて頂けますか?

1970年に国連総会でUNVの創設を決定する決議が採択され、1971年から活動を開始しました。もともとは、様々な国連機関に国際ボランティアを派遣する機関として始まったのですが、2001年のボランティア国際年を機に、国連ボランティアだけでなく、ボランティア活動自体が開発・平和といった課題に対して貢献することの重要性を世界に広く伝えていく、というマンデートが加わり、「世界中でボランティアリズムを通して平和と開発に貢献する国連機関」として活動しています。

現在は、3つの大きな柱に基づいて活動しています。第一に、ボランティアリズムのアドボカシーという活動。次に、ボランティアリズムを開発計画に融合していく活動。そして、UNVの設立以来行っている、国連ボランティアを含むボランティアを動員するという活動。以上の3つの柱を中心に、国連ボランティア計画は活動しています。

1-2. UNVの活動の2番目の柱、つまり「ボランティアリズムを開発計画に融合していく活動」というのが少しイメージしにくいのですが、詳しく教えて頂けますか?

ボランティアというのは「良いことだが、無くてもいいこと」という理解が一般的かと思いますが、これを「良いことで、無くてはならないもの」という理解を広めることが、「ボランティアリズムのアドボカシー」という活動です。例えば、ボランティア活動や世界中の市民の参加が世界の平和や開発に寄与する重要な活動であり、それらの活動なしにはミレニアム開発目標は達成できないということを皆さんに分かって頂くような活動のことです。

「ボランティアリズムの開発計画への融合」という活動は、「アドボカシー」によって得られたボランティアリズムに関する理解を実際に実行していくための基盤作りと考えていただければと思います。もっと具体的にお話しましょう。途上国の各国政府には、自国の開発目標・開発計画があり、それに基づいて活動していますよね。その策定段階で、国連機関や各国政府、援助機関、NGOなどが、アドバイスをしたり、協力したりしながら計画が作られていくことになります。通常、支援対象国で活動をしている国連機関は、国連としてできる支援策を国連支援枠組みという形で策定します。そこで策定された目標に従って、各国連機関が協力したり、各々プログラムや、プロジェクトを作って支援対象国政府の活動を支援するわけです。UNVのいう「ボランティアリズムの融合」というのは、その国連全体としての支援目標の達成を測る指標の中に、ボランティア活動であるとか、市民参加といった項目を入れ込んでいくということです。そういった公式文書の中で、ボランティアというものが言及されるということは、その国の開発のための活動の中にボランティア活動が、公に認められ、実際に組み込まれているという一つの証明になりますよね。つまり、この活動を通して、ボランティアをその国の開発目標達成のための戦略的パートナーとして確立するというねらいがあるわけです。

2-1. UNVの活動には3つの柱があるということでしたが、それでは、日本では具体的にどのような活動をなさっているのですか?

日本は支援する側の国ですので、UNVがボランティアを日本へ派遣して活動する、ということはありません。ですので、我々は基本的に、日本人のボランティアを支援対象国に派遣する、ということを行っており、派遣された日本人ボランティアの方々の何人かは、支援国のボランティアリズムを促進する活動に携わっています。それに加えて、日本政府からいただいている拠出金を使って支援国のボランティアリズムを促進する事業を行ったりしています。「アドボカシー」という面では、様々なイベントや広報活動を通して開発や平和のためのボランティアリズムの重要性を訴えていますし、「ボランティアリズムの融合」という面では、例えば、2008年に横浜で開催された「アフリカ開発会議」では、アフリカの開発のためのボランティアを含む市民参加の重要性を訴えたり、行動計画の中にUNVの活動を取り上げていただいたりしています。世界のボランティアリズム促進のための日本の関係諸機関とのパートナーシップの強化も我々の仕事です。さらに、日本国内のボランティアに関しても、様々な形で協力しています。

2-2. 日本国内のボランティアに協力している、とありましたが、具体的にはどのような分野のボランティアの協力をなさっているのでしょうか?

具体的にどの分野のボランティアに協力しているということはありませんが、日本国内のボランティアリズム推進に協力するという形で、国際レベルでのボランティアリズムの状況等の情報を紹介させていただいたり、125日が国際ボランティア・デーなのですが、国内のパートナー組織が開催するイベント等に参加させていただいたり、応援をさせていただいています。逆に日本政府や国内のボランティア関連組織からは様々なご協力を賜っています。先ほど申し上げました通り、国連で2001年をボランティア国際年にしよう、という総会決議が採択されましたが、その決議の提案国は日本でした。丁度「ボランティア元年」と言われた阪神淡路大震災でのボランティアによる支援活動が注目され、国際的な活動の支援もいただきましたし、国連総会の場で日本政府からのステートメントもいただきました。2001年には国内のボランティア関係組織やボランティア関係省庁からのご協力もいただき、1年を通したキャンペーン活動をしていただきました。

3-1. UNVのボランティア分野は様々ですが、最も重要視している分野はありますか?

草の根レベルの活動がUNVの得意分野です。大きな国連機関では、政府の政策へのアドバイスなど、上のレベルで様々な支援を行いますが、そこで決められたプログラム・プロジェクトは、住民レベルまで裨益するのが最終的な目標です。そのために、UNVは草の根レベルで支援を行うのです。

それに加えて、これまでUNVが大きく貢献してきた分野、今後ますます関与が必要になっていくであろう分野が3つあります。まず、基礎的なサービスの提供です。HIV/AIDSの啓発活動、地方行政に対するキャパシティビルディングなどがこれに含まれます。

次に、危機予防・復興分野です。具体的には、防災や、選挙支援などが例として挙げられます。最後に、環境・気候変動への支援です。この分野は、今後ますますUNVに対するニーズが大きくなってくるだろう、ということで、UNVが注目している分野です。コミュニティレベルでの気候変動に対する適応や、水などの天然資源のコミュニティレベルの管理、そのためのキャパシティビルディング、食料の確保など、そういったものに対する支援が含まれます。

それに加え、これら3つの支援分野を串刺しにするような、分野横断的な領域としてUNVが注目しているのが、青少年やジェンダー、そして周縁化された集団、例えば障害者や難民などのグループ、そういった人々に対する支援です。これら3つの要素を先ほどの3つの支援優先分野の様々な活動に含められるよう活動しています。

4-1. UNVを通してボランティアとして働きに行くことと、他の国連機関の正規職員として働きに行くことに、何か違いはあるのでしょうか。

一番大きいのは、制度の違いだと思います。ボランティア活動というのは、活動に対して金銭的な対価が伴わず、自分の自由意思によって活動に参加しており、その活動は社会全体に寄与するものである、と定義していますが、この考え方を基本にして制度化したのがUNVのボランティア・プログラムです。ですので、国連ボランティアに対して給料は支払われない、ということになります。

それ以外は、例えば保険や活動中の休暇、現場での安全管理、そういったものに対する支援に関しては、国連機関の正規職員と何ら変わりのない、あるいは正規のスタッフ以上の待遇を受けているという例もあります。例えば健康保険に関しては、正規の職員は80%が払い戻しとなりますが、国連ボランティアの場合は100%払い戻し、ということになっています。

4-2. ボランティアには金銭的な対価がないということですが、渡航費や滞在費は誰が負担するのでしょうか?

渡航費や滞在費はUNVが負担します。給料ではないけれども、生活費は支給させて頂いています。

ボランティアご本人とは、24時間ボランティアになって頂く、という形で契約を結んでいます。ボランティアというと、普通は仕事を持っていて、余暇の時間に参加する、ということになると思うのですが、24時間ボランティアになるということは、自分で仕事をして生活の糧を稼ぐための時間がない、ということです。そうすると、誰かが支援しなければならないわけです。現地で生活するのに必要な費用がどれくらいか、ということを国連全体の規定として調査しているのですけれども、そこで決められた各派遣国の生活費を一律共通でお支払いしています。労働に対する対価ではなく、生活に対する支援という形でお支払いしているのです。

4-3. 任される仕事のグレードは、正規職員とボランティアでは異なっているのでしょうか?

国連ボランティアの仕事は非常に多岐にわたっているので、一概には言えないのですが、その国での国連機関の代表や、プログラムの最高責任者等、予算の執行を承認する権限を伴なう職務をボランティアが担当する、ということはありません。とは言え、様々な現場レベルでの意思決定・責任を伴なうような重要な役割を与えられる、ということはあります。例えばUNVは各支援国のUNDP事務所内に現地事務所を持っていますが、各国のUNVのプログラムの運営・管理をするプログラム・オフィサーは通常国連ボランティアが担っています。

5-1. 来年はボランティア国際年の10周年にあたりますが、何か特別なイベントやプロジェクトの計画はありますか?

2011年は2001年の「ボランティア国際年」から10年ということで、これまで10年間の世界のボランティアリズムの進捗を振り返り、さらなる促進をはかる機会として世界中に呼び掛けようということが、2009年の国連総会で採択されました。2001年の「ボランティア国際年」は国際レベルで平和や開発のためのボランティアリズムの重要性を初めて認知したという点で画期的なイベントで、特に途上国の開発への地元市民の参画を促す重要分岐点となりました。過去10年間で様々な成果がでています。

グローバルレベルでは、まず今年125日の「国際ボランティア・デー」に、国連総会でボランティア国際年10周年の開始を宣言するイベントが企画されています。また、来年3月には、ボランティアリズムがMDGsの達成にいかに寄与するか、ということをアピールするイベントがニューヨークで行われる予定です。その他にも、多くのNGOや市民社会のネットワーク団体が独自に10周年を記念するイベントを企画しています。

日本ではどうかというと、国内のボランティア関連団体が参加するボランティアフェスティバルというものが毎年開催されるのですが、来年は111213日に東京で行われる予定でして、それに関する様々な計画を行っている最中です。東京一帯で本会議と分科会をやろう、というイベントを企画していますし、これを機会に、国内・国際ボランティアを問わず、ボランティアをよりよく理解し、ボランティア活動に参加していただく人の数が増えるような活動ができるように呼びかけていきたいと思っています。

皆さん模擬国連活動者を含む学生の活動にも非常に注目しています。ボランティア活動というとその種類は多岐にわたりますが、これを機会に、様々な活動を何らかの形でして頂きたいと思っています。皆さんにもご協力をお願いしたいと思います。

国内でも深刻な社会問題がありますよね。その問題に対処すべく、国内のボランティアは多くの異なるセクターの人と協力して活動していますが、そういった部分で新しい動きが出てくればいいなと思います。10周年をそういった機会として捉えてくれればと考えています。

5-2. 2001年当時と現在では、ボランティアに関して何か変わった点はあるのでしょうか?

ボランティア活動の様式が多様化したと思います。特にインターネットの普及でオンラインでのボランティア活動がより盛んになっています。UNVwww.onlinevolunteering.org というサイトを通してオンラインボランティアの活動を促進しています。また、国境を越えて、特に若い人たちの間で、オンラインでアクションを起こす動きもありますよね。そういったところに日本の若い方たちもぜひ参加して頂きたいと思うし、もしも参加しているならそういった事例をぜひご紹介頂きたいと思います。

企業の方々の社会貢献活動の一環としての企業ボランティアもますます広がってきていますよね。CSRにも注目が集まっていますし、ボランティアに対する意識も変わってきていると思います。日本では、「プロボノ」という言葉も最近紹介されてきていますね。これはボランティア活動のひとつで、自分の専門分野の職能を活かしたボランティアのことです。最後に10年前と比べて、ますます環境や気候変動分野のボランティア活動の必要性が注目されています。

6-1. 大学・大学院を出てからどのような過程を経て現職 (UNV) に就かれたのですか?

最初は大学の事務職員として留学生と関わる仕事に就きました。本当は大学院で国際政治を勉強し学位を頂いていたので、その分野で研究をしたかったのですが、挫折を経験しその仕事に就きました。その仕事も契約を更新しない、と言われ、一年間かけて就職活動をしました。その際に、国際政治を学んだ経験から国際的な仕事をしたいと思ったのです。なので、日本のNGO、政府の機関などに応募しましたが現地での経験が私にはなく、上手くいきませんでした。その時、たまたまUNVが東ティモールで住民登録をするための特別公募をしていて、運よく受かったんです。「職務経験」があったことが評価され、合格を頂きました。

7-1. 東ティモールにはどれくらいの期間いらっしゃったのですか?

20011月から2002年の5月の末までいました。一年半です。2002520日に東ティモールが独立をし、5月の末をもって国連のPKOがいったん終了するのと同時に、日本に帰国しました。ですので、私は東ティモールが独立した日は現地におり、今でも大きな思い出です。一国の独立の現場にいるっていうのはなかなか出来ない体験だと思うので、それが経験できたということは、一生の思い出です。当時、東ティモールには戸籍が存在しておらず、私を含む200名の国連ボランティアが、国中の村に散らばって、約80万人のデータを3カ月かけて集めました。そのデータをもとに憲法を決めるための議会の選挙の有権者名簿が出来、選挙が行われ、憲法が決定。その憲法に従って、大統領選挙をし、東ティモールは独立を果たしました。

東ティモール独立のための一番大きなプロセスに直結する「草の根レベル」の作業が私達国連ボランティアに任されていた、ということなので、住民登録自体は単純作業でしたが、やりがいは感じました。東ティモールでの国連ボランティアとしての体験が、今の私を作る上でのベースになっていると思います。国連ボランティアに参加する人全員が、その活動に満足して帰国するわけではありません。ですが、私は幸運なことに東ティモールでの活動をすごく良い思い出としてとらえているので、今でも国連ボランティアのために仕事をしたいと思っています。

8-1. 丁度東ティモールのお話がでたのでお聞きします。学生の立場から長瀬さんが東ティモールでやり遂げたことを捉えると、独立のする前の異国の土地にボランティアとして行き、住民と直接関わるコミュニティーレベルの活動をするというのは不安要素がたくさんあるように思えるのですが、東ティモールで何か危険な体験などしたことはあるのでしょうか?

特にないですね。当時の東ティモールは、独立という一つの大きな目標に向かって住民、国連スタッフ、援助関係者が、一致団結していたと思います。私達の活動は現場の最前線の活動だったので、住民との直接対話を通して、信頼関係を築くことがすごく大事だったのですが、ちゃんと信頼関係を双方で築いたお陰で、住民の方々からも協力を得られたし、活動に支障をきたすような出来事はありませんでした。通訳とドライバーとして雇用した地元住民がコミュニティとの対話を助けてくれました。活動を通して彼らとの信頼関係が築けたことが地元住民との良好な関係を築けた要因だったと思います。

ただ、夜半の暴風雨が原因の倒木で道路が寸断されたり、舗装されていない山道を四駆で走った際に、崖の下まで滑りおちてしまったりだとか、日本ではあまり考えられないようなそういう体験はたくさんしました。マラリアやデング熱の危険もありましたね。飲み水や電気のない場所で生活していましたが、仕事に充実を感じていましたので、気にならなかったです。

ですが、私が東ティモールへ行く前、1999830日の東ティモールが独立をするかを決める住民投票の時は、非常に危険だったそうです。住民投票自体を妨害する「反独立派」の暴力行為がずっと続いており、国連はそれを止めることができなかった。現地にいたスタッフの安全確保もできず、退避という結果になってしまいました。そういう危険と隣合わせの活動は世界各地でたくさんあります。最近では、アフガニスタンでの爆破事件やハイチの大地震で国連スタッフの犠牲者が出ました。もちろん国連が安全面ではしっかりとサポートしていますが、していても起こってしまう事件というのはどうしてもあるという覚悟は必要だと思いますし、そういった状況の中でどのような対応をすべきかという教育は国連ボランティアを含むすべての国連スタッフが受けることになっています。

9-1. 最後の質問です。この質問は私自身が非常に長瀬さんに聞いてみたいと思った質問なのですが、UNVのボランティアをする方というのは25歳以上で職務経験2年以上という条件を持ち合わせた方になりますね。私はそこに、学生をボランティアとして連れて行ったら学生自身の意識向上の面などからみてもいいことだと思うのですが、長瀬さんは国連が、UNVが学生を現地に連れていく、ということに関してどうお考えですか?

特に先ほど申し上げたような安全面で特別な配慮が必要な現場に、意識向上のために学生の皆さんを連れていくことはできません。国連のスタッフ、国連ボランティアに関わらず、そのような現場で活動している人たちは、困難な場面に直面した時に適切な行動をとるための自己判断ができる技術に裏打ちされたプロフェッショナルで、意識があることが大前提です。学生のボランティアが途上国で国連の枠組みの中でできること、というのは確かにあると思います。実際に小さなプログラムですが、国連ボランティアの枠組みを使って学生ボランティアを海外に派遣するという活動は個別の大学と協定を結んで行っています。その一方で、それに対する理解が受け入れ先である国連機関、国連ボランティアのスタッフの中に浸透しているとは言えないのが現状です。

私が日本の学生に期待することは、やはり何らかの形で自分たちのスキルを使って貢献して頂きたいということです。経験のため、ということではなく、成果重視であるUNVの性質を考えると、スキルを生かした活動から出てくる成果を期待しているという面が強いですし、その成果が国連の活動の成果に直結するので、学生でもそれができればボランティアをすることは可能であると思います。

9-2. 私たち日本の学生はボランティアをする側ですが、途上国の物資が行き届いていない若者の現状はどうなのでしょうか?また、UNVは若者の問題に対してどのようなことをしているのですか?

ユース(若者)に対する支援をUNVはやっています。特に紛争後のアフリカ諸国の青少年支援には力を入れています。アフリカ諸国では、青少年人口が最も多く、支援を必要とする最も脆弱なグループとして存在しています。つまり、その国の将来を担う大量の若者に対する教育や雇用の機会が非常に限られているという現状は、社会不安や紛争という結果に再び回帰するという可能性が高いと言われています。この状況を対処するための手段の一つとして若者のボランティア活動への参加が提唱されています。

例えばリベリアでは、UNDPUNVが支援する学生ボランティア・プログラムが実施されています。リベリアの大学生が地方のコミュニティに出向いてボランティア活動を実施することを通して、コミュニティの開発に貢献すると同時に、自分のスキルを向上させ、ボランティア活動の重要性について理解することを目的としたプログラムです。同じような動きが西アフリカ経済共同体に加盟している各国で現在起こっています。アフリカの若者がボランティアを受ける側というのは間違いで、彼らもボランティアをする側です。ボランティア活動はその受け手だけではなく、ボランティアをする本人にも利益をもたらすものという理解です。

日本の学生のみなさんもリベリアの学生の皆さんと一緒にボランティア活動をすると良いかもしれませんね。リベリアの学生やコミュニティの人々から教わることの方が多いかもしれません。

9-3. 日本でも「学生ボランティア・プログラム」のように国内でできることはありますか?

日本では色んな形でボランティアがありますね。学生のボランティア活動もとても盛んだと思います。国際協力や国際ボランティアに興味をお持ちの学生のみなさんには、まずは国内のボランティア活動に参加していただくと言う事が大事だと思っています。特にユースの皆さんには国内でたくさんボランティアとして活躍していただきたい問題がたくさんあります。そこにぜひ参加して頂くと言う事は、国際協力のいい実践練習にもなりますし。

また、今の若い人はよく「内向きだ」と批判されるので、海外に目を向ける、ということはもちろんいいことですが、その目を向ける一つの方法として、国内の問題にアプローチしてみることも大事ではないでしょうか。貧困の問題であれ、介護の問題であれ、そこで得られる経験というのはすごく大きいと思うのです。途上国で起こっている同じ問題が国内で起こっているわけですから、海外に目を向けるのと同時に国内にも目を向けてほしいですね。そこで得られるものが、途上国に対しての支援をする際に一番の元になるべきだと思います。

国連の活動と言うと、燦然と輝いた国連のマークや、「国際協力」の最前線、NYの国連総会の会議場などをイメージされますよね。模擬国連をしている皆さんなんかは、特にそのイメージが強いのではないでしょうか。それもいいとは思いますが、やはりそういった問題というのが一体どこから来ているのか、ということを是非見て頂きたいと思うのです。

どこから来ているのかというと、やはり草の根レベルの実際に生活している人達が問題を抱えているわけですよね。その部分を見ずに何ができるのか、と私は思います。その人達に対して何を感じるのか、そして何をしたいのか、というところを実際に体験することなしに何ができるのかな、と。そういったことを経験する場というのは国内にごろごろあるのです。貧困問題など、今までなかった問題ですよね。私達はずっと豊かで、途上国は貧困で苦しんでいるから、かわいそうだな、という精神でやってきたわけです。ですが先ほども述べたように途上国と同じ問題を抱えた人達というのは国内にもいるわけで、途上国の問題との繋がりが今非常に見えやすいと思います。日本の社会に住んでいる人達の貧困問題に対処するということが、途上国の貧困問題に対処することに大きく関係してくるのです。

貴重なお話をありがとうございました。

日本模擬国連の長川美里(上智大学2年)・田川映梨子(東京大学3年)が、国連ボランティア計画(UNV)東京事務所の長瀬慎治 駐在調整官にお話を伺いました。

1-1. UNVの活動について簡単に教えて頂けますか?

1970年に国連総会でUNVの創設を決定する決議が採択され、1971年から活動を開始しました。もともとは、様々な国連機関に国際ボランティアを派遣する機関として始まったのですが、2001年のボランティア国際年を機に、国連ボランティアだけでなく、ボランティア活動自体が開発・平和といった課題に対して貢献することの重要性を世界に広く伝えていく、というマンデートが加わり、「世界中でボランティアリズムを通して平和と開発に貢献する国連機関」として活動しています。ました

現在は、3つの大きな柱に基づいて活動しています。第一に、ボランティアリズムのアドボカシーという活動領域。次に、ボランティアリズムを実際の現地の開発計画や活動に融合していく活動。そして、UNV設立創設以来行っている、国連ボランティアを含むボランティアの派遣や、各国政府の開発計画にその国の中のボランティアの人たちを動員するしていく、という活動。以上の3つの柱を中心に、国連ボランティア計画は活動しています。

1-2. UNVの活動の2番目の柱、つまり「ボランティアリズムを現地の開発計画や活動に融合していく活動」というのが少しイメージしにくいのですが、詳しく教えて頂けますか?

ボランティアというのは「良いいいことだが、無くてもいいこと」という理解が一般的認識をするのが普通だと思いますが、これを「良いことで、無くてはならないもの」という理解を広めることが、「ボランティアリズムのアドボカシー」という活動です。例えば、ボランティア活動や世界中の市民の参加世界の平和や開発ミレニアム開発目標の達成に寄与する重要な活動であり、るとか、ボランティアそれらの活動なしにはミレニアム開発目標は達成できないのではないか、というように、実際にボランティア活動が開発や平和のための活動に実際に貢献するのだということを皆さんに分かって頂くような活動のことです。

「ボランティアリズムの開発計画への融合」という活動は、「アドボカシー」によって得られたボランティアリズムに関する理解を実際に実行していくための基盤作りと考えていただければと思います。もっと具体的にお話しましょう。途上国の各国政府には、自国の開発目標・開発計画があり、それに基づいて活動していますよね。その策定段階で、国連機関や各国政府、援助機関、NGOなどが、アドバイスをしたり、協力したりしながら計画が作られていくことになります。それに対して国連などが、各々に出来る支援を、支援対象国政府と話し合いながら計画していきます。途上国だけでは開発が出来ないので、我々のような国連機関、他の援助機関、NGOなどが協力し合いながら支援を行っていくわけです。通常、支援対象国で活動をしている国連機関は、国連としてできる支援策を国連支援枠組みという形で策定します。では、支援対象国で支援を行っている国連機関が全て集まって、各国政府と話し合って支援枠組みを作っています。そこで策定された目標課題に従って、各国連機関が協力したり、各々プログラムや、プロジェクトを作って支援対象国政府の活動を支援活動したりするわけです。UNVのいう「ボランティアリズムの融合」というのは、、という形をとっています。その中で、その国連全体として支援目標の達成を測る指標の中にを行う一つの指標に、ボランティア活動であるとか、市民参加とその国の市民の開発活動に対する参加であるとか、そういった項目を入れ込んでいくということです。入れていくとそういった公式文書の中で、ボランティアというものが言及されるということは、その国の、国連全体の活動として、もしくはその国全体の活動として、開発のための活動の中にボランティア活動が、公に認められ、実際に実際に組み込まれているという一つの証明になりますよね。つまり、この活動を通して、ボランティアその国の開発目標達成のための戦略的パートナーとして確立するというねらいがあるわけです。し、その文書に従って活動するということは、実際にボランティア活動というものが開発に対する活動に寄与することになりますよね。

2-1. UNVの活動には3つの柱があるということでしたが、それでは、日本では具体的にどのような活動をなさっているのですか?

日本は支援する側の国ですので、UNVがボランティアを日本へ派遣して活動する、ということはありません。ですので、我々は基本的に、日本人のボランティアを支援対象国に派遣する、ということを行っており、派遣された日本人ボランティアの方々の何人かは、支援国のボランティアリズムを促進する活動に携わっています。いますそれに加えて、日本政府からいただいている拠出金を使って支援国のボランティアリズムを促進する事業を行ったりしています。「アドボカシー」という面では、様々なイベントや広報活動を通して開発や平和のためのボランティアリズムの重要性を訴えていますし、「ボランティアリズムの融合」という面では、例えば、2008年に横浜で開催された「アフリカ開発会議」では、アフリカの開発のためのボランティアを含む市民参加の重要性を訴えたり、行動計画の中にUNVの活動を取り上げていただいたりしています。世界のボランティアリズム促進のための日本の関係諸機関とのパートナーシップの強化も我々の仕事です。さらに、日本国内のボランティアに関しても、様々な形で協力しています。

2-2. 日本国内のボランティアに協力している、とありましたが、具体的にはどのような分野のボランティアの協力をなさっているのでしょうか?

具体的にどの分野のボランティアに協力しているということはありませんが、日本国内のボランティアリズム推進に協力するという形で、国際レベルでのボランティアリズムの状況等の情報を紹介させていただいたり、125日が国際ボランティア・デーなのですが、国内のパートナー組織が開催するイベント等に参加させていただいたり、応援をさせていただいています。UNVのマンデートには「世界中のボランティアに対する応援」が含まれているので、日本国内のボランティアに対して支援を行っています。特に、国際的な文脈の中でボランティアリズムがどういうような位置づけなのかということを皆さんにお伝えする、ということを行っています。

支援している分野としては全ての分野ということになりますね。逆に日本政府や国内のボランティア関連組織からは様々なご協力を賜っています。先ほど申し上げました通り、国連で2001年をボランティア国際年にしよう、という総会決議が採択されましたが、その決議の提案国最大のスポンサー日本でしただったのです丁度「ボランティア元年」と言われた阪神淡路大震災でのボランティアによる支援活動が注目され、国際的な活動の支援もいただきましたし、国連総会の場で日本政府からのステートメントもいただきました。2001年には国内のボランティア関係組織やボランティア関係省庁からのご協力もいただき、1年を通したキャンペーン活動をしていただきました。なので、国際的なレベルでのボランティアリズムの推進において、日本政府とのパートナーシップが非常に重要になってくるわけです。2001年には、日本国内においても、様々なボランティア関連団体が集まって活動をしました。それに対して、情報発信や、日本政府からの支援のための働きかけをさせて頂きました。

3-1. UNVのボランティア分野は様々ですが、最も重要視している分野はありますか?

草の根レベルの活動がUNVの得意分野です。大きな国連機関では、政府の政策へのアドバイスなど、上のレベルで様々な支援を行いますが、そこで決められたプログラム・プロジェクトは、住民レベルまで裨益するのが最終的な目標です。そのために、UNVは草の根レベルで支援を行うのです。

それに加えて、これまでUNVが大きく貢献してきた分野、今後ますます関与が必要になっていくであろう分野が3つあります。まず、基礎的なサービスの提供です。HIV/AIDSの啓発活動、地方行政に対するキャパシティビルディングなどがこれに含まれます。

次に、危機予防・復興分野です。具体的には、防災や、選挙支援などが例として挙げられます。最後に、環境・気候変動への支援です。この分野は、今後ますますUNVに対するニーズが大きくなってくるだろう、ということで、UNVが注目している分野です。コミュニティレベルでの気候変動に対する適応や、水などの天然資源のコミュニティレベルの管理、そのためのキャパシティビルディング、食料の確保など、そういったものに対する支援が含まれます。

それに加え、これら3つの支援分野を串刺しにするような、分野横断的な領域としてUNVが注目しているのが、青少年やジェンダー、そして周縁化された集団、例えば障害者や難民などのグループ集団、そういった人々に対する支援です。これら3つの要素をほどの3つの支援優先分野の様々な活動に含められるよう活動しています。

4-1. UNVを通してボランティアとして働きに行くことと、他の国連機関の正規職員として働きに行くことに、何か違いはあるのでしょうか。

一番大きいのは、制度の違いだと思います。ボランティア活動というのは、活動に対して金銭的な対価が伴わず、自分の自由意思によって活動に参加しており、その活動は社会全体に寄与するものである、と定義していますが、この考え方を基本にして制度化したのがUNVのボランティア・プログラムです。ですので、国連ボランティアに対して給料は支払われない、ということになります。

それ以外は、例えば保険や活動中の休暇、現場での安全管理、そういったものに対する支援に関しては、国連機関の正規職員と何ら変わりのない、あるいは正規のスタッフ以上の待遇を受けているという例もあります。例えば健康保険に関しては、正規の職員は80%が払い戻しとなりますが、国連ボランティアの場合は100%払い戻し、ということになっています。

4-2. ボランティアには金銭的な対価がないということですが、渡航費や滞在費は誰が負担するのでしょうか?

渡航費や滞在費はUNVが負担します。給料ではないけれども、生活費は支給させて頂いています。

ボランティアご本人とは、24時間ボランティアになって頂く、という形で契約を結んでいます。ボランティアというと、普通は仕事を持っていて、余暇の時間に参加する、ということになると思うのですが、24時間ボランティアになるということは、自分で仕事をして生活の糧を稼ぐための時間がない、ということです。そうすると、誰かが支援しなければならないわけです。現地で生活するのに必要な費用がどれくらいか、ということを国連全体の規定として調査しているのですけれども、そこで決められた各派遣国の生活費を一律共通でお支払いしています。労働に対する対価ではなく、生活に対する支援という形でお支払いしているのです。

4-3. 任される仕事のグレードは、正規職員とボランティアでは異なっているのでしょうか?

国連ボランティアの仕事は非常に多岐にわたっているので、一概には言えないのですが、例えば、その国での国連機関の代表や、プログラムプロジェクトの最高責任者、予算の執行を承認する権限を伴なう職務をボランティアが担当する、ということはありません。とは言え、様々な現場レベルでの意思決定・責任伴なう行うような重要な役割を与えられる、ということはありますもあったりします例えばUNVは各支援国のUNDP事務所内に現地事務所を持っていますが、各国のUNVのプログラムの運営・管理をするプログラム・オフィサーは通常国連ボランティアが担っています。状況次第ですね。

 

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