【設定】 国連総会本会議
(United Nations General Assembly, Plenary Meeting)
【議題】 地雷問題の解決に向けた包括的対策
(Comprehensive measures for solving landmine issues)

カンボジアにある男性がいます。
彼はクメール・ルージュに連れ去られました。不慣れな地雷の改造に従事させられた彼は、誤って手元で地雷を爆発させてしまいました。左手の指5本と右手の人差し指から小指までの第一関節から先を失いました。両手の手のひらは起爆の衝撃と火傷で硬直状態になりました。
一度クメール・ルージュから解放されるも再び同組織に捕まった彼は、連行先の森林で地雷を踏みました。右足の膝下を失いました。
和平協定後、彼はタイの難民キャンプからカンボジアに帰還しました。新しい生活が始まりました。しかし、雑草刈りをしているときに再度地雷を踏んでしまいました。左足の膝下も失いました。
質問:「地雷はどうしても必要ですか?」
答え:「地雷が必要かだって。当たり前じゃないか。必要だから使っているんですよ。いいですか、私たちは戦争をしているんですよ。あれこれ議論するのはいいが、死んでしまったら何も残らない。また戦争に負けてしまったら、これまでの努力や苦労が水の泡です。戦争に勝つため、そして生き残るためには何でもできることはするし、使えるものは何でも使う。これが戦争です。」
-アンゴラの反政府組織、アンゴラ全面独立民族同盟(UNITA)の大佐の言葉-
「悪魔の兵器」、「卑怯者の友達」、「貧者の守護神」、「疲れを知らない門番」、「スローモーションの大量殺戮兵器」、これらはすべて地雷についた別名です。本来的に非人道的である兵器の中でも、「非人道的」兵器として地雷は語られます。対人地雷禁止条約の作成経緯、そして同条約に156カ国が批准している現在に至るまでをみても、地雷の持つ非人道性は国際的に広く合意がなされているといえます。
他方において、地雷を必要とし、実際に使用する主体は今なお存在します。対人地雷禁止条約の理念である地雷全廃に対して難色を示す国家も存在します。費用対効果の観点などから、地上戦において地雷に勝る兵器は存在しないともいわれます。
地雷を作る国と地雷の被害を受ける国、地雷の全廃を望む国と地雷の規制下での使用を望む国、そして必要とする国と必要としない国。これらの国すべてが集う国連総会本会議で大使となる高校生のみなさんには、地雷問題の解決に向けた包括的な対策を検討していただきます。会議では、頭の中に常に対立する他者を描きつつ、一国を背負う大使としての発信と受容を繰り返してほしいと思います。そして、会議後には地雷問題を会議前よりも近い距離で、みなさんに意識していただければと思います。
<注釈>
*カンボジアの事例
目加田説子『地雷なき地球へ―夢を現実にした人びと』
(岩波書店、1998年、pp14-16)
*アンゴラの事例
神保哲生『地雷リポート』(築地書館、1997年、p176より抜粋)