2001年からアフガニスタン攻撃がアメリカ軍を中心に行われたが、2003年より、アフガンに駐留する多国籍軍ISAF(international security assistance force)の指揮をNATOが担うことになった。現在のISAFの任務は、治安維持だけでなく、開発や麻薬対策等にも亘っている。
今回デンマークとしてアフガニスタンにおいて強調したいことは、まずアフガンの住民の心をつかむ政策が大事だということである。これは、現在タリバンやその他の武装勢力が強い影響力を持つアフガニスタンにおいて、住民たちが政府や外国軍に不満を持って、彼らの味方につくようにならないことが重要だからである。そしてもう一つは、そのためには文民-軍人の協力が必要であり、具体的にはPRT(provincial reconstruction teams) の活用を促進していくことが大事だということである。これは、現在アフガンには危険な地域がたくさんあり、それらの地域で住民たちが満足するような政策をとるには、文民の協力が必要になるが、彼ら単独では危険なので軍隊に保護を任せることからきている。PRTというのは文民、軍人が混在して実際にアフガニスタンで活動している、ISAFの組織の一部である。デンマークはNATOの2010年新戦略において、comprehensive approach(これは文民-軍人の協力を指す)を概念として導入したがっていることからも特に強調されることである。
これを踏まえて、今会議でデンマークが主張する政策は4つある。①警察官の訓練②代替開発の促進③水供給システムの設立④教育の促進である。
①警察官の訓練
現在、アフガニスタンにおいて、警察官の能力が低いことによって取り締まりが上手くできず、麻薬生産の拡大や、犯罪の増加を招くこととなっている。そしてこの問題を打開するための提案が、Afghan National Policeと Counter Narcotics Police of Afghanistan の訓練である。Counter Narcotics Police of Afghanistan とは、麻薬取り締まり専門の警察官であり、麻薬取り締まりに関して特別な権限を持っている。
これらの警察官の育成によって、麻薬問題改善や犯罪の低下を狙い、地域の治安の向上に貢献するのである。
以下三つは全てPRTを通じた活動となる。
②代替開発の促進
現在、麻薬がアフガニスタンで大きな問題となっている。麻薬はテロリストの大きな資金源になったり、取り締まりを防ぐためのわいろが横行したりして政府の汚職の原因となっているのである。しかし、単に取り締まりを厳しくするだけでは住民の反発を買うだけである。そこで、登場するのが代替開発である。
代替開発とは非合法的な作物の代わりに合法的な作物を植えさせることを指す。そして主にアフガニスタンで代替開発をしている組織として国連薬物犯罪事務所(UNODC)と米国国際開発庁(USAID)があげられる。そしてデンマークの提案はこれらの組織のスタッフの保護と情報交換を促進していくということである。
麻薬の生産量が減れば、テロリストの資金源・汚職が減少し、治安改善に貢献できるというわけである。
③ 水供給システムの設立
アフガニスタンには水が少ない。よって作物の栽培が困難になっている。しかし、ケシ(アヘンの原料)だけは水が少なくても植えることができる。その結果ケシ栽培が増加し、麻薬生産の拡大に貢献してしまっているという事態となっている。これを防ぐために、デンマークはダムや水路の建設、伝統的な地下水路の修復、灌漑の促進を提案する。これらは麻薬生産の減少だけでなく、住民が喜ぶ、住民の心をつかむ政策の一つといえるだろう。
④教育の促進
現在アフガニスタンでは治安の悪化が著しく、教育もままならない地域が多数存在する。そして多くの国民は実際字を書くことができない。これが就職率の低迷や、低収入の原因となっていて、それを不満に思うものや、生活が苦しいものが犯罪を繰り返し、治安悪化の一因ともなっている。そこでデンマークが提案することは学校の建設、教師の訓練である。これらの促進により、収入の増加、治安の安定を狙うのである。
警察官の能力不足、麻薬生産、教育の不足が、アフガニスタンの不安定さの要因となっている。軍事行動だけではなく文民活動の視点からアフガニスタンの治安改善を考えていくことが不可欠だとデンマークは主張する。