本会議は、2010年の第64期総会という場で2000年に採択されたミレニアム開発目標(MDG)の進捗状況を確認し、またその更なる進歩を計るものである。会議にはデンマーク大使として会議に参加し、デンマークの政策や国益の視点から臨むことになる。デンマークはミレニアム宣言以来、MDG達成に向けた政策を開発援助の軸に位置付け、2003年には、ドナー国として初めて国家のMDG達成への貢献具合をまとめたレポートを提出するなど、MDGの分野において重要な役割を果たしてきた。
MDGの扱う分野は教育・健康・国際協力・環境、と多岐に渡るが、本会議においてデンマークが焦点を当てているのは特に健康に関連するもの、すなわち幼児死亡率や妊産婦死亡率、感染症などを扱った目標4・5・6である。さらに、女性の人権やエンパワメントを重視し、発展の不可欠の要素と位置付けるデンマークにとって、目標3、すなわち男女間平等の促進が全てのMDG達成の際に根底におかれることは重要である。では、具体的にデンマークがどのような政策を掲げているか説明する。
最も優先される政策としては、デンマークが経済的に非常に貢献しているリプロダクティブヘルス分野におけるものが挙げられる。1994年ICPD会議で初めてリプロダクティブヘルスの重要性、その女性の健康改善への有効性などが認められ、リプロダクティブヘルス促進のための行動計画が発足した。行動企画の発足以来、デンマークはそれに基づきODAの大部分をリプロダクティブヘルス分野に充てるなどして貢献し、さらに2005年には、MDGにリプロダクティブヘルス達成を組み込むことに成功した。しかし、現状では、行動計画は十分に遵守されておらず、リプロに対する国際的な取り組みも十分なものとはいえない。デンマークは、リプロダクテイブヘルスは妊産婦の健康にはもちろん、乳幼児の健康、さらにはエイズの分野における状況改善にもつながる包括的なアプローチととらえている。そこで会議では、健康関連のMDG達成のためにはICPDで定められた行動計画に基づいて各国家が積極的に行動するよう訴える。
次に、2005年の世界サミットでも確認されているとおり、女性のエンパワメントが発展のための原動力になるという認識を国際社会に浸透させるべく、MDGの目標3がすべてのMDG達成のベースになるという認識を共有したい。
以上が政策の概要になるが、次に、金融危機が問題とされる中、どのようにして資金を運用するかについて述べたい。デンマークは世界でも開発援助の効率性が非常に高いことで有名だが、その知識や経験を生かし、会議ではドナー国と援助を受け取る側の国双方の援助の効率向上に向けた取り組みを提案していきたい。デンマークが援助の際に最も重視している2つの事項はオーナーシップ・ハーモニゼーションというものである。これは、援助がドナー国の一方的な押し付けになってしまうので無く、リセプター側の自主性やニーズを尊重したものになるのが重要だという考え方である。デンマークはこの2点を踏まえた開発援助を行うため、貧困削減戦略書の充実に力を注いでいる。これは、援助のリセプターを含め市民団体、NGOや多岐にわたる参加者が現地のニーズや自主性に基づき開発ロードマップを立てていくというものであるが、デンマークが二国間援助プログラムに指定した国のほとんどはこれを完成させている。一方で、この充実に向けた取り組みが一部発展途上国では不十分な状況を踏まえ、限られた資源でより効率よい発展援助を行うためにも、貧困削減戦略書の充実を加盟国に呼びかけたい。
最後に、MDG達成に向けた努力をどの地域に集中していきたいかについて説明する。デンマークはアフリカ援助に尽力しており、二国間援助プログラムの指定国のうち60%以上の国がアフリカ、とりわけ最貧国に集中している。これは、アフリカにおける開発・発展状況がとりわけ遅いことに加え、現在デンマークの対外貿易のシェアのうちアフリカはまだ1%未満しか占めておらず、将来的なマーケットの潜在性がある、という戦略的理由もある。国際社会全体としての対アフリカ援助を高めるために、デンマークは自国のある政策に焦点を当てたい。2008年―2009年にデンマークはアフリカコミッションを設立し、アフリカ各国の首脳と協力して若者の雇用拡大に向けた取り組みを促進したが、会議では、デンマークが今後2年単位でアフリカコミッションを立ち上げ、我が国を開催国とした上で、国際社会全体がアフリカと連携を深めながら、ニーズに合った発展援助を施工することを訴え、加盟国の理解と協力を呼び掛けていきたい。