HABITAT III

概要 会議テーマ 議題・論点説明 フロント紹介 大会企画 国選びのポイント

概要

議題(英語) Urban Planning for Slum towards SDGs
議場 HABITAT III
扱う年代 2016年
設置国数(募集人数) 42ヶ国(全てシングルデリ)
使用言語 公式:英語 / 非公式:英語 / 成果文書:英語
会議監督 中島悠輔(東京大学大学院工学系研究科 修士1年)
議長 笠嶋瑞基(東京大学大学院総合文化研究科 修士1年)
秘書官 須藤雄貴(神戸大学大学院国際協力研究科 修士1年)
土居桃子(法政大学法学部 2年)

国割

Afghanistan
Brazil
Cambodia
Cameroon
Canada
Chad
China
Colombia
Costa Rica
Democratic Republic of the Congo
Germany
Ghana
Guatemala
India
Indonesia
Italy
Japan
Kazakhstan
Kenya
Kyrgyzstan
Liberia
Mexico
Netherlands
Nigeria
Pakistan
Peru
Philippines
Poland
Republic of Korea
Romania
Russian Federation
Rwanda
Senegal
Spain
Thailand
Trinidad and Tobago
Turkey
Uganda
United Kingdom
United States of America
Viet Nam
Zambia

会議テーマ

Beyond Your Thought

この会議では、国内外から参加者を募集しており、会議の全ての場面において英語を用いた議論を行います。また日本の模擬国連では扱われることが少なかった、スラムという都市空間の問題に対して向き合います。世界中の様々な国から集まる参加者と都市について議論する中で、自分だけでは思いつかなかった考え方、視野を得る機会となるのではないでしょうか。

求める参加者

この会議では、国内外から参加者を募集しており、会議の全ての場面において英語を用いた議論を行います。世界から集まるバックグラウンドの異なる参加者と議論をしたい方、ぜひご応募ください。

またこの会議では都市において発生しているスラム問題に対して、SDGsの考え方を背景に都市計画という視点から模索します。SDGs・スラム・都市といったトピックに興味がある方もぜひご参加ください。

英語のレベル、都市計画に関する専門的な知識の有無は問いません。英語を用いた議論、議題に関する知識に不安がある方に対して、英語・議題に関する勉強会を設ける、フロントが個人的に相談する機会を設ける等のサポートを行う予定です。

Beyond Your Thought というテーマの通り、自分の考えのもう一歩先に挑戦したい方のご参加をお待ちしております!

議題・論点説明

議題説明

国際連合人間居住計画(UNHABITAT)はスラムを、
・安全な水を得られない
・衛生とインフラを得られない
・貧弱な構造の住宅
・過密な環境
・住居権が守られていない
といった特徴を持つ住居環境としています。

スラムの多くは都市部に発生し、法的に認められていない存在です。各国が経済発展をする過程において、雇用を求めて農村から都市に人が流入してきました。彼らの一部が都市部の私有地・公有地を不法占拠して零細な住宅を建てた結果、スラムが発生してきました。

19世紀後半から現在に至るまで、各国は、人権・治安・衛生等の観点から違法な存在であるスラム、またその住民に向き合わざるを得なくなってきました。違法な存在であるスラムを都市部から一掃する根絶主義的な政策や、NGOを通じてスラムの住民と共に解決を探る漸進主義的な政策等、スラムとの向き合い方が模索され続けています。

1996年から2016年までの世界の都市政策を見つめ直し、2036年に向けた世界の都市政策の方針を提示する場であるHABITATⅢにおいて、今後のスラムへの向き合い方を議論し、提示することが望まれています。

論点説明

この会議においては、スラム問題に対する住宅政策を論点とします。

これまでスラムという都市における住居環境の問題に対し、住宅政策による対応に焦点が当てられてきました。例えば、違法な存在である都市部のスラムの住宅を取り壊し、郊外に公共住宅を提供することで、都市のスラムの一掃を目指すスラムクリアランスや、スラムでの居住権を超法規的に認めて水道・電気といった生活インフラを整備することにより、スラムの住居環境の改善を目指すスラム・アップグレイディング等が挙げられます。HABITATⅢでは、これまで取られてきた住宅政策を再考し、今後、世界が取るべきスラムに対する住宅政策の方針を議論します。

スラム問題に対する住宅政策について議論する際、その背景にある思想から具体的な政策までを行き来しながら、どのような都市計画のあり方が良いのかを考える必要があります。

思想について考えた際、スラム、その住民がどのような状態になることが理想なのかを議論しなければなりません。国際連合・政府・自治体・市民・スラム住民といった、それぞれの視点ごとにスラム問題の解決の理想像は違って見えるでしょう。特にスラムという違法な存在に対して政府がどのような姿勢を取るべきなのかということを注意して考える必要があるでしょう。

空間に関する政策について考えた際、スラムの住民はどこに住むべきか、またどのような環境で生活するべきか、を議論しなければなりません。現状、スラムの住民の職場は都市にある場合が多く、彼らを都市から強制的に引き離したとしても、彼らは都市に戻ってきてスラムが再発生してしまうことが多いと言われています。では、彼らを都市という空間で受け止めるべきなのでしょうか。また、現状彼らの多くは生活インフラの欠如等の問題を抱えた住宅で生活しています。彼らの生活環境に対する政策のあり方についても議論がなされる必要があります。

さらに、先ほどの職場の例にもあるように、スラム問題の解決のためには住宅政策といったハードな視点では補えきれない、雇用や教育といったソフトな側面も合わせて議論される必要があります。

思想と政策に関する議論を行き来し、会議の成果として2036年に向けたスラムに対する世界の住宅政策の方針の提示が求められています。

フロント紹介

ディレク自己紹介

中島悠輔(なかしま ゆうすけ)
東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 修士1年です。大学では、都市計画、特に緑に関する計画・デザインを勉強しています。駒場研究会のOBです。当時、海外大会に2回程、参加しました。趣味は散歩。星の王子様が好きです。

ディレクにとっての模擬国連とは

模擬国連を始めたきっかけ
もともと環境問題に興味があり、国際的な視点から環境問題について議論する機会が欲しいと思い大学1年生から模擬国連を始めました。

印象に残っている会議
全て印象深く、決められませんでした。

悔しかったこと
National Model United Nations 2012でのRio+20の会議でのことです。

初めての海外大会への参加でかなり緊張してしまい、大したことができませんでした。
会議では上手く成果を出せませんでしたが、様々なバックグラウンドを持つ人とたくさん話をすることができました。その際、自分の考えていることはまだまだ狭かったな、と感じました。その時はとても悔しかったですが、後から考えると視野を広く持とうとする良いきっかけになった気がします。

その他模擬国連について語りたいこと
あまり気を張らずにのびのびと楽しんでください。

フロントからひとこと

【議長】笠島瑞基(東京大学大学院総合文化研究科 修士1年)
Albert Einsteinが”Common sense is the collection of prejudices acquired by age 18.”という名言を残したように、常識とは、皆さんがある集団で吸収した先入観の積み重ねだと考えています。もし、新しい知識を得ることに飽き足らず、先入観を疑って’’Beyond Your Thought’’したいならば、SDGs・スラム・都市計画について英語で議論するという、常識を打ち破るような会議に参加してみてください。

【秘書官】須藤雄貴(神戸大学大学院国際協力研究科 修士1年)
スラムとそこに住む人たちの将来に国際社会がどのように向かいあっていけばよいのか、参加者が互いに尊重し合いながら議論できる会議になればと思っています。

【秘書官】土居桃子(法政大学法学部 2年)
英語会議、住宅政策という議題を聞いて何かピンときましたか?
まだ来なくても大丈夫です。
参加してみたら、国内外の模擬国連の違いを実感してもらえるでしょう!また参加者全員で何か一つのものを作り出すことを楽しんでいただけると思います!フロントが皆、海外大会の参加経験が豊富なので、皆さんのお力になれればと思います。

ディレクから参加者へのメッセージ

Beyond Your Thought という会議テーマに共感し、今の自分のもう一歩先に挑戦しようと思う方に参加してほしいと思っております。挑戦することは大変なことだと思いますが、大きく変わることをぜひ楽しみに来てください。お待ちしております!

大会企画

概要

大会企画は、4日目の午前中に行われます。この大会企画では、参加者の皆様に会議で作られた成果を客観的に見つめなおし、それをプレゼンテーションの形で発表してもらいます。具体的には、グループに分かれて、3日目までの会議でともに議論した仲間と会議の中で生じた問題意識・その解決策および効果を話し合ってまとめてもらい、それに対して専門的な知見からフィードバックを行います。その他に会議中の議論の方法について振り返る時間も設ける予定です。

狙い

この大会企画の目的は2つあります。1つ目は議題についての理解を深めること、2つ目は国内外の参加者の議論の方法の差によって気づきを得ることです。この企画を通して、会議準備期間からとことん考えてきた議題について、さらに考えを深めていただきたいと思います。また、一緒に議論した国内外の仲間とともに、議論方法の違いを学びつつ一つの答えを出す過程から、知識だけでない多くのものを得られるのではないでしょうか。この大会企画が、グループで共通の目標に向かって考え抜く機会、そして海外参加者との差に気づき新たな知恵を身に着ける機会となることでしょう。

国選びのポイント

スラム問題は、国ごと、さらに言えば「都市」ごとに多種多様であり、さらに同じ都市をとったとしても、刻一刻と大きく状況が変化します。経済状況の悪化や戦争といった理由で、都市に集まってくる人が急増することもあります。このように、スラム問題は国からさらに踏み込んで「都市」を見つめる必要があり、また状況が変化しやすいからこそ、担当する国を選ぶことは難しいでしょう。

しかし「地域」という軸は、担当国を選ぶ際に、やはり一定の役割を果たします。スラムは、第三世界の大都市周辺部で発生し、多くはその起源を共通しており、植民地時代まで辿ることができると言われています。植民地時代の各国の政府は、宗主国の人々を都市内で法的に守る一方で、先住民の人々を法的に守られないインフォーマルな存在と位置づけた結果、彼らは不法な住宅街、つまりスラムを形成したと言われています。 その後、都市部を中心に経済発展が進み、貧困にあえぐ農村から都市に雇用を求めて人が集中しました。また、内戦や他国との戦争から都市に避難する人もおり、彼らの多くはスラムで生活することを余儀なくされています。都市人口が急増するのに伴いスラムも拡大しています。

第三世界に含まれるアフリカ、アジア、ラテンアメリカ地域の国々の間では、経済発展の状況、戦争、災害、そして地域の文化によってスラムの状況が異なるでしょう。 例えば、アフリカ地域では、経済発展が遅れている都市が多く内戦や干ばつ等の災害がスラム形成の理由となっているケースが多く見られます。一方、アジア地域・ラテンアメリカ地域では経済発展が進んでいる都市が多く、雇用がスラム形成の理由となっているケースが多く見られます。

一方、ヨーロッパ、北米地域では、他国から雇用を求めて、あるいは戦争から逃れるため移民が流入しスラムを形成しています。移民の受け入れについて国によって大きく方針が異なり、今後も多国間で議論を続けこの問題に向き合う必要があるでしょう。またヨーロッパ地域と北米地域とでは都市の規模が大きく異なり、北米地域では都市の中心部が荒廃するというインナーシティの問題が顕著となっています。

ただし、上にもあげたように国だけでなく「都市」にまで踏み込んで考え、また短期間で変化する状況に注意しながら国を選んでもらいたいと思います。